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02月27日-02号

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  1. 新宿区議会 2001-02-27
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    平成13年  2月 定例会(第1回)      平成13年第1回定例会会議録(第2日)第2号平成13年2月27日(火曜日) 出席議員(44名)  1番   くまがい澄子     2番   赤羽つや子  3番   鈴木幸枝       4番   小松政子  5番   麻生輝久       6番   のづたけし  7番   松川きみひろ     8番   上 秀夫  9番   えのき秀隆     10番   志田雄一郎 11番   かわで昭彦     12番   猪爪まさみ 13番   小畑通夫      14番   とよしま正雄 15番   そめたに正明    16番   山添 巖 17番   宮坂俊文      18番   桑原公平 19番   中村よしひこ    20番   かわの達男 21番   山田敏行      22番   佐原たけし 23番   小野きみ子     24番   久保合介 25番   羽深真二      26番   野口ふみあき 27番   やはぎ秀雄     28番   権並 勇 29番   小沢弘太郎     30番   長森孝吉 31番   小倉喜文      32番   内田幸次 33番   あざみ民栄     34番   阿部早苗 35番   近藤なつ子     36番   沢田あゆみ 37番   秋田ひろし     38番   下村得治 39番   新井康文      40番   田中のりひで 41番   笠井つや子     42番   雨宮武彦 43番   佐藤文則      44番   松ヶ谷まさお ------------------------------------- 欠席議員(なし) ------------------------------------- 説明のため出席した者の職氏名 区長     小野田 隆     助役     高橋和雄 収入役    吉野道雄      企画部長   佐田俊彦 総務部長   永木秀人      区民部長   須磨洋次郎 福祉部長   愛宕昌和      衛生部長   渡邉紀明 環境土木部長  荒木 繁     都市計画部長 戸田敬里 企画課長   武井幹雄      予算課長   野口則行                  教育委員会 総務課長   早川 順             山崎輝雄                  教育長 教育委員会            選挙管理        石崎洋子      委員会    藤田紀代志 事務局次長            事務局長 常勤監査委員 山田外彦      監査事務局長 佐藤三男 ------------------------------------- 職務のため出席した議会事務局職員 局長     石村勲由      次長     伊藤憲夫 議事係長   大川芳久      議事主査   谷部とき子 議事主査   畠中 茂      議事主査   広瀬孝治 議事主査   大岡 博      議事主査   菅波裕子 調査係長   長沼良子      書記     島田ちはる 書記     喜多裕之 ------------------------------------- 速記士    芦名世都子     速記士    河原田小百合 -------------------------------------2月27日   議事日程 日程第1  第5号議案  新宿区議会議員の報酬の特例に関する条例の一部を改正する条例 日程第2  第6号議案  新宿区義務教育施設整備基金条例 日程第3  第7号議案  新宿区長等の給料の特例に関する条例の一部を改正する条例 日程第4  第8号議案  新宿区政務調査費の交付に関する条例 日程第5  第9号議案  新宿区情報公開条例 日程第6  第10号議案 新宿区長、助役及び収入役の給料等及び旅費条例の一部を改正する条例 日程第7  第11号議案 新宿区非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例 日程第8  第12号議案 新宿区職員の再任用に関する条例 日程第9  第13号議案 新宿区職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例 日程第10 第14号議案 新宿区職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例 日程第11 第15号議案 新宿区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例 日程第12 第16号議案 新宿区職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例 日程第13 第17号議案 外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例 日程第14 第18号議案 新宿区職員定数条例の一部を改正する条例 日程第15 第19号議案 新宿区職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例 日程第16 第20号議案 新宿区防災会議条例の一部を改正する条例 日程第17 第21号議案 新宿区立女性情報センター条例の一部を改正する条例 日程第18 第22号議案 新宿区特別区税条例の一部を改正する条例 日程第19 第23号議案 新宿区国民健康保険条例の一部を改正する条例 日程第20 第24号議案 新宿区立消費生活センター条例の一部を改正する条例 日程第21 第43号議案 新宿区職員の懲戒に関する条例の一部を改正する条例 日程第22 第25号議案 新宿区立母子生活支援施設条例の一部を改正する条例 日程第23 第26号議案 新宿区助産の実施又は母子保護の実施に係る費用徴収条例 日程第24 第27号議案 新宿区保育所保育料徴収条例の一部を改正する条例 日程第25 第28号議案 新宿区立ことぶき館条例の一部を改正する条例 日程第26 第29号議案 新宿区道路占用料等徴収に関する条例の一部を改正する条例 日程第27 第30号議案 新宿区公共溝渠管理条例の一部を改正する条例 日程第28 第31号議案 新宿区自転車等の放置防止及び自転車駐車場の整備に関する条例の一部を改正する条例 日程第29 第32号議案 新宿区立公園条例の一部を改正する条例 日程第30 第33号議案 新宿区立妙正寺川公園条例の一部を改正する条例 日程第31 第34号議案 新宿区立リサイクル活動センター条例の一部を改正する条例 日程第32 第35号議案 新宿区環境土木・都市計画事務手数料条例の一部を改正する条例 日程第33 第36号議案 新宿区立住宅管理条例の一部を改正する条例 日程第34 第37号議案 新宿区教育委員会教育長の給料等及び勤務等に関する条例の一部を改正する条例 日程第35 第38号議案 新宿区幼稚園教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例 日程第36 第39号議案 新宿区幼稚園教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例 日程第37 第40号議案 新宿区幼稚園教育職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例 日程第38 第41号議案 新宿区奨学資金貸付条例の一部を改正する条例 日程第39 第42号議案 新宿区立社会教育会館条例の一部を改正する条例 日程第40 第45号議案 平成12年度新宿区一般会計補正予算(第5号) 日程第41 第46号議案 平成12年度新宿区国民健康保険特別会計補正予算(第2号) 日程第42 第47号議案 平成12年度新宿区老人保健特別会計補正予算(第2号) 日程第43 第48号議案 平成12年度新宿区介護保険特別会計補正予算(第2号) 日程第44 第1号議案  平成13年度新宿区一般会計予算 日程第45 第2号議案  平成13年度新宿区国民健康保険特別会計予算 日程第46 第3号議案  平成13年度新宿区老人保健特別会計予算 日程第47 第4号議案  平成13年度新宿区介護保険特別会計予算 ------------------------------------- △開議 午後2時2分 ○議長(小沢弘太郎) ただいまから本日の会議を開きます。 会議録署名議員は、  10番 志田雄一郎君  33番 あざみ民栄さんを指名します。 ------------------------------------- ○議長(小沢弘太郎) 本日の会議時間は、議事進行の都合により、あらかじめ延長します。 ------------------------------------- ○議長(小沢弘太郎) 区の一般事務及び教育委員会の事務について質問の通告を受けましたので、順に質問を許します。 最初に、42番雨宮武彦君。   〔42番 雨宮武彦君登壇、拍手〕 ◆42番(雨宮武彦) 2001年新宿区議会第1回定例会にあたり、私は日本共産党新宿区議会議員団を代表し、区長並びに教育委員会に質問いたします。 質問に入る前に、1月26日、JR新大久保駅にて、転落した男性を助けようとして犠牲となったカメラマンの関根史郎さんと韓国人留学生、李秀賢さんの行動に心からの敬意を払うとともに、哀悼の意を表するものです。 また、2月9日、アメリカ・ハワイ・オアフ島沖で、愛媛県宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」がアメリカ海軍原潜グリーンビル」に衝突された事故で、いまだに生徒を含め9名の方が行方不明となっています。捜査活動の継続と船体の早期引き上げを強く求めるものであります。事故に遭った「えひめ丸」の乗組員の皆様と御家族の皆様に心からお見舞いを申し上げます。 まず最初に、区長の政治姿勢についてお伺いいたします。 今、国会では森政権が「死に体」と言われ、多くの問題で立ち往生しています。どの問題も長く続いてきた自民党型政治そのものに根ざすものだけに深刻でありますが、ここでは3つの問題について触れたいと思います。 第1は、アメリカ海軍原潜グリーンビル」が「えひめ丸」を沈没させた問題についてであります。 民間船舶が多数往来する海域で無謀な緊急浮上訓練を行い、こともあろうに操舵席にいたのは民間人で、事故後も救援活動を行わなかったというアメリカ軍の、まさに無法な行為が引き起こした事件であります。ここ数日の報道では、民間人が多数乗船していたため、「えひめ丸」をもともと認知していながら緊急浮上の際の確認を怠ったことや、ソナーの任務に訓練生がついていたなど,アメリカ海軍側の落ち度が次々明らになっています。しかし、現地へ派遣されていた桜田政務官は、アメリカ軍が救助を行わなかったことについて「アメリカ軍には落ち度がなかった」などと述べました。我が党は直ちに調査団をハワイに派遣して、調査と不明者の御家族を激励し、日米共同の調査委員会を設置できることを明らかにし、日本政府へ提案をしました。国民の安全を守るためアメリカ屈従の外交は正すべきです。 事故の報告を受けながらゴルフを続けた森首相の対応も大きな国民の非難を浴びていますが、一連の対応は国民の命に責任を負うべき首相の資質に欠けた行動であり、首相としての資格は完全に喪失しています。 第2に、官房機密費の問題です。 この問題では、歴代官房長官がいろいろな証言を始めています。宇野内閣のときの塩川正十郎氏や村山内閣の野坂浩賢氏が次々と発言をして、「内閣機密費というのは国会対策に使っていた。国会議員が海外に行くときのせんべつに出していた」など、国民の血税を党略的かつ私的に流用していたことがこの問題の核心であります。国会で暴露された1989年5月に内閣官房のつくった文書によれば、消費税問題・リクルート事件・中曽根首相の喚問で国会が空転している中、自社公民が密室協議をやっている4月18日に1億円の支出があったのです。今に至るまで国民を不況の中で苦しめている消費税の生みの親が機密費であったことが明らかになったわけです。血税を使いながら領収書の必要もない、こうした不透明な税金の支出や密室政治について、国民の中から批判の声が高まっています。機密費の抜本改革と大幅削減の実現を図るよう、強く求めるものであります。 第3に、KSD問題についてであります。 中小業者の汗の結晶とも言うべき共済の掛け金を、自民党の新聞の広告費や幽霊党員の党費の名目で自民党本部が吸い上げ、政治や行政も動かしたKSD汚職は、一部の自民党議員の疑惑にとどまらない自民党の丸ごと汚染であり、村上前参議院議員が辞職して済む問題ではありません。公共的な性格を持つ公益法人の金と票に群がり、その見返りとして役所に圧力をかけたという構造的腐敗そのものです。 そこで、区長にお伺いしますが、この3つの事件についてそれぞれどう認識しているでしょうか。なぜこうした問題が起こったと思われますか。まずお伺いいたします。 こうした一連の問題で、自民党・公明党・保守党の支える森政権は、今や支持率がわずか5%から8%で、国民からは不信任を突きつけられています。我が党は森内閣に対し、即時退陣を要求するものであります。区長はこれらの世論調査の結果についてどうお考えですか。こうした歴代内閣2番目という支持率の低迷が起こっているのはどうしてか、今まで指摘した点も踏まえてお答えください。 また、政治家と金の問題が国民的議論になっている今こそ、企業団体献金の禁止が必要だと思いますが、区長はいかがお考えですか。改めてお伺いいたします。 次に、区長が22日の本会議で述べた区政の基本方針説明に関連してお伺いいたします。 まず、区長の時代認識についてであります。 区長は「あらゆる社会的制度などの仕組みが機能不全の危機を迎えている」として、相変わらず再構築論を展開しています。確かに今日の日本は経済面でも社会のありようでも、まさに危機的な状況を迎えていると言って差し支えないと私も思います。しかし、日本社会が機能不全に陥っている最大の要因は、本来国の舵取りを行わなければならない政権政党と政府が、まさに機能不全に陥り、危機を打開する方策も能力も一切失っているからにほかなりません。区長が言うところの成長率の鈍化や少子高齢化の進展がたとえあったとしても、政治がしっかりしていれば機能不全も危機も訪れることはないのであります。 区長は「20世紀の最後の10年間、我が国の社会経済の変化には驚くべきものがある」と述べました。それでは、この10年間、自民党政治は日本の経済、社会、国民生活、そして国と自治体の財政に何をもたらしたでありましょうか。国と地方を合わせて 500兆円という天文学的な財政が大型公共事業につぎ込まれました。大銀行や大手ゼネコンの不始末によってつくられた不良債権処理に巨額の税金が投入され続けています。その一方で、国民は超低金利政策で30兆円の利子所得を奪われ、年金の相次ぐ切り下げは老後の生活設計を大きく狂わしています。消費税の導入と税率引き上げ、医療制度の改悪、介護保険の導入などによる負担増は国民の消費購買力を急激に冷え込ませました。こうして国民生活はまさに「失われた十年」と呼ぶにふさわしい不況下に落とし込められ、他方、国と地方の累積債務は、ある著名なシンクタンクが「返済不可能」と断言する 666兆円にまで達してしまったのであります。 10年前、だれが今日の日本の姿を予見したでありましょうか。この10年間の日本経済、そして社会のゆがみは、まさに驚くべき変化であります。しかし、このような中にあっても日本国民は確実に未来に向かって歩みを進めています。この10年間、自民党の選挙での得票率は、90年の総選挙の46%から昨年の総選挙の28%に激減しています。昨年行われた長野県と栃木県の知事選挙では、従来の自民党型公共事業抜本的見直しを掲げた知事が誕生しています。国民の意識も確実に変化、発展しているのです。今求められているのは、金と票と予算を接着剤とした政・官・財の癒着構造を本質とする自民党型政治構造改革そのものではないでしょうか。 区長はあらゆる社会的制度を機能不全の危機に陥らせた政治の責任をどう認識しているでしょうか。自民党政治にこの危機を打開する期待が持てるでしょうか。区長の率直な御意見をお伺いいたします。 質問の2点目は、「区政は区民のためにある」と強調する区長が、それでは区民生活の現状をどう把握しているかという点についてです。 基本方針説明では、残念ながら区民生活への言及が一切ありません。さらに驚いたことは、現在区民生活にとっても、区政にとっても最重要課題の1つである介護保険について一言も触れられていないことであります。区民生活はこの10年でどう変化しているでしょうか。生活保護率は 1.6倍に、就学援助を受給する児童の割合は11.7%から15.2%に増加しています。一方で、国民年金保険料申請免除者数は 3.6倍に、国民健康保険料の滞納者は 1.5倍にふえているのです。区長はこのような区民生活の実態をどう認識しているのでしょうか。区民のための区政を標榜するなら、この区民生活を前に、区政の役割をどのように考えているのでしょうか、お答えを求めます。 3点目は、民間委託論についてであります。 区長は「行政の役割を見直し、民間では対応困難な分野に限定していく」とし、民間委託を積極的に推進する姿勢を強調しています。この民間委託論の基調となっているのは、新自由主義経済理論と言われる市場原理万能論やコスト論であります。しかし、この間、市場原理万能論やコスト論が国民生活に何をもたらすかを象徴的に示す事件が連続的に引き起こされています。雪印乳業の食中毒事件、三菱自動車のリコール隠し事件がそうであり、さらにJR新大久保駅での事故も、民営化されたJRの極端なまでの減量経営姿勢がその要因にあることは広く指摘されているところです。市場の競争に勝ち抜くためには、結局、利益優先・安全軽視にならざるを得ないのであります。 区長は国民の生活や安全に大きな影響を持つ民間企業の中で、この間起きている事件をどのようにとらえているでしょうか。その背景に市場原理に基づく人員削減などのリストラ策が反映しているとは考えないでしょうか。その点も含めて、区長の民間委託積極推進論の理由をお示しください。 4点目は、人事管理のあり方についてです。 区長は「プロとしての職員を育成する」として、人事制度を再構築するとの方針を述べています。区の職員が公務員としてその役割を発揮することはもちろん重要なことであります。しかし、そうした職員を育成する上で、今の新宿区の職員を「危機感に欠け、コスト意識も低く、切磋琢磨の意欲にも乏しい」とこきおろすことが果たしてよい効果を生むでありましょうか。 また、公務員の仕事を単純に民間企業と比較することも正しくありません。公務員になろうとする若者は皆、社会に役に立つ仕事をしたいと考えて役所に入ります。そして、公務員になってからも常にその立場で仕事をしているはずです。「会社のため」が当然の前提となる民間企業とは本質的にその立場は異なっています。役所が民間企業から学ぶべきことが多々あることは否定しませんが、能力・業績の重視、生産性の向上、処遇と結びついた意欲などの表現からは、憲法と地方自治法の精神にのっとり、文字どおり全体の奉仕者として区民のための区政を担う職員の姿は見えてこず、区のリストラを忠実に推進する職員をつくるための人事管理方針と言われても仕方ないのではないでしょうか。こうした指摘に区長はどう答えるのでしょうか。 次に、当面する財政運営についてお伺いいたします。 区長の基本方針説明の中で、多くの方が印象深く受けとめたくだりは、当区の財政状況について「現時点ではどうにか小康を得るに至っております」と述べている部分ではなかったでしょうか。区長はこれまで当区の財政状況について「破綻のふちに立っている」とか「財政再建団体への転落もあり得る」とか、財政非常事態宣言以来まさに最大限の表現で、その危機的状況を強調してきたのです。今回の区長の区財政に対する言及は、明らかに過去のものと質的に変化したものになっています。もちろん区財政が危機的状況から小康状態に転じたとするならば、一般論としては結構なことであります。しかし、問題なのは区長がこの財政状況の好転の要因をどう認識しているのかという点であります。 区長は「各般にわたる累次の対策と区民の理解と協力の結果である」と述べています。しかし、この表現は説得力に欠けるものであります。当区の財政の現状をもたらした要因は、区長の言うように開かれた区政推進計画区政改革プランなどの行財政改革によるものと単純に言うことはできません。区長は今年度、すなわち平成12年度の予算編成時、どのような認識を示していたでありましょうか。 区長は平成12年度の基本方針説明では「12年度の区政はさらに財政的に不安定状況にあり、区有地の売却による財源手当を行わない限り、実施計画を策定することは困難」とまで述べていたのです。平成12年度の予算は区政改革プランを全面的に具体化したものでありました。その予算編成時に、今述べたような認識を区長は示していたのです。もし区政改革プランなどの対策によって財政危機が克服されたのだとしたら、その見通しは予算編成時に既に明らかになっていたはずであります。しかし、そのような見通しは示されていませんでした。つまり、財政が小康状態になった要因は、平成12年度予算の編成時には想定されていなかったことが生じたからにほかなりません。それは、端的に言って、都区財政調整交付金の大幅な伸びであります。 既に今年度の最終補正予算で明らかにされているように、都区財政調整は調整3税のうち市町村民税法人分の伸びにより、当区では今年度約23億円の追加交付が行われることになったのであります。そして、この増収は来年度も同程度の額が見込まれています。この約50億円に達する都区財調交付金の増収分こそ、財政状況の好転を生み出した最大の要因であります。 このことは区の作成した予算概要の冊子からも読み取ることができます。区はこの冊子の中で、実施計画の財政フレームと編成された平成13年度予算との対比を載せていますが、それを見ても財源不足額を減少させた要因が財調交付金の増にあることは明瞭です。このことは財政の立て直しにとって、増税によらない経済活動に基づく税収増がいかに大切かを示しているのではないでしょうか。 私たちは区が財政危機を唯一最大の根拠に、区民の暮らしや福祉を支えてきた施策の縮小・廃止を強行し、受益者負担の名による区民生活への負担転嫁を推し進めてきたことに対し、こうした収支の帳尻だけを合わせようとするやり方は区民生活を一層冷え込ませ、税収などの減収を招き、財政再建も遠ざけてしまうことを指摘してきました。今回の予算が伸び率をゼロに下方修正した区民税収入で、財政フレームからさらに1億 4,500万円の減額を見込み、歳出では保険料の未納者の増等により国民健康保険会計への繰り出しを3億 500万円もふやさざるを得なかったことも、このことを物語っています。 そこで、第1の質問は、区の財政が小康状態になり得た要因について改めて明らかにすべきということであります。私が今指摘した点を踏まえてお答えください。 なお、区長があくまで行革努力によるものだと主張するならば、その数字的根拠も具体的にお答えください。  また、この際、今日の時点に立っての財政見通しを区政改革プラン策定時と比較した上でお示し願いたいと思います。 質問の第2は、しからば区財政が小康状態になった今日、区は何をなすべきかということであります。今述べたように平成12、13年度で約50億円の財調交付金が当初の見込みより増収になることが明らかとなりました。この背景となった住民税法人分の増収は、IT関連企業の増益とともに人員削減などの企業リストラの結果と言われています。そうであるならば、この増収分は不況下の区民生活の支援策に積極的に活用すべきです。我が党区議団は昨年12月、財調交付金の大幅増が明らかになった時点で、区長にこの交付金を財源に最悪の不況下にある区民生活を支援するための緊急要求として、介護保険の保険料、利用料の軽減策や住宅リフォーム資金助成制度の実施など21項目にまとめ、申し入れを行ったところであります。こうした立場での活用を重ねて要求し、区長の答弁を求めます。 第3は、財政が小康状態になったからと言って、再開発事業など投資的事業に安易に乗り出すことは許されないということであります。新年度の予算案では東西自由通路の動向を見据えながらとして、新宿駅東口周辺整備についての検討が予算化されました。また西新宿5、6、8丁目の各地区の市街地再開発事業について予算づけが行われています。事業が進捗中の西新宿6丁目南地区を除いて計上額は少ないものの、これらの事業は具体化につれて経費が急膨張する可能性が高いものであります。今、国民的批判を受けて、国レベルでも公共事業の一部見直しが進められています。長野県と栃木県の知事選挙の結果は、先ほど述べたとおりです。区長は時代の変化や構造改革の必要性を盛んに口にします。公共事業偏重からの転換こそ時代の要請であり、構造改革の具体的な中身ではないでしょうか。 私は新宿駅周辺の整備や地元関係者の自主的努力による市街地再開発事業を否定するものではありません。しかし、巨額の公費投入の路線はきっぱり転換すべきです。新宿駅東口周辺や西新宿地域の関係者に対しても、行政としての技術的アドバイスや支援はしても、税金投入はできないことをはっきりと伝えるべきではないでしょうか。この点についても区長の御見解をお示しください。 次に、石原都政が昨年の11月と12月に相次いで発表した都政運営の基本方針とも言える「東京構想2000」「都庁改革アクションプラン」及び「税制調査会答申」についての区長の見解をお伺いいたします。 まず、「東京構想2000」についてであります。 この構想は21世紀の東京の望ましい姿として「千客万来の世界都市」を描くとともに、首都機能を東京圏が一体的に担うとする「環状メガロポリス構造」を打ち上げた巨大開発構想となっています。そして、この構想は昨年5月、経団連が提唱した「東京圏都市新生プロジェクト」とほぼ一致したものとなっています。このように「東京構想2000」は大型公共事業の見直しという時代の流れに反し、首都圏規模の都市改造計画や外郭環状道路などに財政を重点的に投入しようとするものとなっています。実際、構想に基づき重点的に取り組む事業を示した3カ年の推進計画では、少子高齢化対策などの福祉、医療の分野は17%程度で済ませ、幹線道路などの大型事業には50%以上の財政をつぎ込もうとしているのです。 2001年度の都の予算案が臨海副都心開発、幹線道路建設、汐留開発などの都市開発にバブル前の2倍近い1兆円もの財政を投入しようとしているのも、この構想を踏まえたものだからであります。こうした構想では破綻状態にある国と都との財政を、さらなる泥沼に引き込むことになってしまうことは明瞭ではないでしょうか。 この「東京構想2000」を実現するためのシステム改革の方針として策定されたのが「都庁改革アクションプラン」です。このプランでは財政再建推進プランに基づいて強行されたシルバーパスや老人医療費助成などの福祉施策切り下げにとどまらず、都民施策全般にわたる縮小・廃止をより大規模に進めることが打ち出されています。さらに、勤労福祉会館、城東児童保健院などの都立施設の廃止、見直しや、都立病院の民営化の検討などが掲げられ、都民生活への影響は見過ごすことができません。 さらに問題なのは、東京都税制調査会が昨年11月、石原知事に提出した答申です。答申は、中小企業を含む全企業への外形標準課税の導入を求めたのです。東京都内の法人の約7割、39万社は赤字ですが、この赤字企業にも年平均82万円の課税をしようというもので、この不況下に中小企業増税をやろうというのですから、とんでもないことです。さらに、答申は国に対しても増税を求めているのです。1つは個人住民税の税率を一律10%にする低所得者への増税で、もう1つは消費税の免税店や簡易課税制度の軽減措置の見直しによる増税です。どちらも庶民への大増税であり、東京から日本を変えると称して、こんな声を上げるのですから迷惑な話です。 区長は、これらの構想や方針をどのように受けとめているのでしょうか。区民の立場からしっかりと分析し、意見や批判をきちっと述べていくべきではないでしょうか。お答えを求めます。 次に、介護保険の保険料、利用料の軽減策について質問をいたします。 新宿区が独自に介護保険の保険料、利用料の助成を実施する問題について我が党区議団はこれまでも繰り返し要求してきました。介護保険の保険料、利用料の軽減措置を何らかの形で実施する自治体は全国的にも、東京でもふえ続けています。東京都内の実施状況を見ると、保険料の助成を行っているのは6区市、利用料の助成は27区市町村が実施し、23区の状況は来年度から実施予定も含めて12区と、まさに過半数が実施に踏み出しています。新宿区の隣接区でもほとんどが実施しており、都心ブロックで実施していないのは今や新宿だけ、まさに取り残されようとしている状態です。このまま新宿区が住民の要望に背を向けたままでいいのでしょうか。 また我が党区議団は在宅介護支援センターやヘルパーステーション、訪問看護ステーションなどさまざまな事業者を訪ね、意見を聞いてきました。その中でも特に低所得者に対しては利用料を何とかしてほしいという声が出されました。大変な思いをしている区民に心を寄せて、区として何ができるのかを考え実行することが求められているのではないでしょうか。他の自治体が行っているように、新宿区でもせめて低所得者については保険料を助成し、利用料についても何らかの軽減策に踏み出すべきではないでしょうか。区長の見解をお聞かせください。 質問の第2は、医療措置の必要な要介護者の緊急入所用ベッドを確保することについてです。 何人かのケアマネジャーさんからお話を聞く中で、今までの経験で1番困ったことの1つに、介護している家族が急病や葬儀などで介護できなくなったときに預かってくれるところがないことを上げていました。特に医療的な措置が必要な人はどこへも預けられなくて困ったというのです。区役所に相談しても介護保険外の扱いで費用の高い施設を紹介されるが、費用が負担できない人もいるというのです。衛生部の事業としてある病院のベッド確保は、このような場合利用できないのが実態です。ある在宅介護支援センターのケアマネジャーさんは、「どこまでが緊急かという線引きが難しいと思うが、私たちが理由書を書くことになってもいい。その労はいとわない」と話してくれました。 東京都では新年度から緊急ショートステイ事業として 2,500万円の予算で板橋区内の施設に6床、東村山市内の施設に2床確保する予定です。この制度は介護にあたっている家族が救急車で入院したとき、残された介護の必要な人を救急隊員が連絡をして、最長5日間まで施設に入所できるというものです。東京都でこうしたベッド確保がされるということは、それだけ多くの要望が出ているということではないでしょうか。 しかし、この制度では対象がかなり限定されており、不十分と言わざるを得ません。そこで、緊急なとき、医療措置が必要な人でも利用できる老人保健施設や療養型病床群のベッドを区として確保し、介護保険外の介護者支援のための事業として実施すべきと考えますが、区長の見解をお聞かせください。 次に、安全で利用しやすい鉄道駅づくりという視点から3点にわたってお伺いいたします。 第1点目は、JR新大久保駅で発生した転落事故を教訓に安全な駅をつくるという問題についてです。 線路に転落した男性を救おうとして犠牲となったカメラマンの関根史郎さんと韓国人留学生、李秀賢さんの勇気ある行動は、多くの国民に感動を与えました。一方、事故を未然に防ぐことはできなかったのかという疑問も広く指摘されています。李秀賢さんの御両親は息子の死をむだにしないでほしいと訴えられましたが、この訴えにこたえ、安全な鉄道駅の体制を確立することこそ、2人の勇気に報いる道ではないでしょうか。 今回の事故の要因として、駅ホームに駅員がいなかったという問題が指摘されています。もし駅員がいたら泥酔していた男性を注意したり、万一転落した場合でも非常停止ボタンを押すなどの対応ができたのではないかと言われています。ホームの駅員が減らされる背景に、総合サービス産業の実現に主眼を置き、安全対策には最低限の経費しかかけず、人員削減の合理化を推進してきたJRの徹底した効率化と利益確保最優先の経営姿勢が指摘されています。また政府も、ホーム要員などの配置数や基準について鉄道事業者の経験と裁量に任せ、法的規制や義務規定を決めないまま放置してきたのです。今回の事故を重い教訓に、人員体制の強化とともに、ホーム下の避難空間の整備や非常停止装置や線路への落下を検知する検知マットの整備、さらにはホーム上への転落防止柵の設置など事故防止対策の徹底が図られなくてはなりません。 そこで区長にお伺いいたします。区長は今回の新大久保駅での事故をどのように受けとめているのでしょうか。その原因をどう認識しているのかという点を含めて、まず見解をお聞かせください。 次に、具体的な安全対策をどう進めていくのかについてです。実に多くの区民が日々鉄道駅を利用しています。区民の安全な生活を保障するのも区の責務の1つであります。私は、区長としてJR東日本を初め区内に駅を持つすべての鉄道事業者に対し安全な駅づくりを要請すべきだと考えます。また政府に対しても同趣旨の要望活動を行うべきと考えますが、見解をお聞かせください。 2点目は、交通バリアフリー法の施行を踏まえた利用者の立場に立った駅づくりについてです。 昨年11月、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、いわゆる交通バリアフリー法が施行されました。交通バリアフリー法が策定されたことは、長年にわたる障害者や高齢者団体等の粘り強い運動の成果であり、利用者の願いにこたえたものです。今回の法の施行によって、新設や大規模改修による施設、設備等の整備は「移動円滑化基準」、いわゆるバリアフリー化の整備基準への適合が義務づけられ、違反事業者には罰則が科せられることになります。このことは大きな前進と評価できます。 しかし、問題点もあります。その第1は、既存施設については努力義務が課せられただけで実効性が上がらない恐れがあることです。大規模改修が実施される場合も、改修する時期までバリアフリー化が事実上免責されることになってしまいます。 第2は、財政負担の問題です。法律では負担割合まで規定していませんが、自治体も負担することになっています。現在、負担の基本的スタンスは、国、自治体、事業者それぞれ3分の1ずつとなっています。しかし、現実は自治体が3分の1以上の負担をするケースがまれではありません。例えば吉祥寺駅ではエスカレーター3機が設置されましたが、そのうち自治体負担は75%となっています。こうしたケースは国の補助がつかない場合、JRが国の負担分まで自治体に持たせようとしているからです。このような交通事業者の姿勢では、せっかくのバリアフリー法も死文化してしまいます。整備費用については原則として体力のある交通事業者が負担すべきです。 区長への最初の質問は、こうした問題点の改善を国に求めていくべきであるということについてです。新宿駅を初め公共交通機関の日本有数のターミナルを抱える新宿区としては、特に声を大にして上げていくべきではないでしょうか。御見解をお伺いします。 次に、バリアフリー法に基づく地方自治体の役割についてです。 国が定めた基本方針に基づいて一定規模の駅などの旅客施設、周辺道路、駅前広場、信号機などのバリアフリー化を一体的に進めるために、区市町村は基本構想を作成することができることになっています。昨年の第2回定例会での我が党の質問に対し、区長は国が基本方針を作成した後、「幅広く区民を初め関係者の御意見を聞きながら進めてまいります」と答弁しています。 そこでお伺いします。 第1に、国の基本方針が作成された現在、区は基本構想作成の準備に入るべきであります。早急に基本構想作成委員会等の検討する場を立ち上げるべきではないでしょうか。そして、その検討会には障害者や高齢者等利用者が直接参画し、整備計画の策定や施設の設計段階から利用者の意見が直接反映できるシステムを確立する必要があると思います。 第2に、新宿区内の駅等の交通機関がどの程度バリアフリーの整備が進んでいるかどうか、区として正確に把握すべきであります。そこで、早急に改善を行う必要があれば、交通事業者や東京都などに対して改善を要求すべきです。 第3に、具体的な対応として新宿区最大のターミナル駅、新宿駅及びその周辺のバリアフリー化についてお聞きします。まず、駅構内の問題についてです。新宿駅はJR、小田急電鉄、京王電鉄、営団地下鉄、都営地下鉄等の多くの鉄道事業者と複数のデパートからなる巨大な複合施設です。先日、障害者団体の方と視察したところ、バリアフリー化は十分ではありませんでした。点字ブロックは途切れていたり、色はばらばらでした。ブロックの色は弱視者のためには、そして一般の人にもそこにブロックがあるということがわかるように、原則的に黄色にすべきなのです。エレベーターは4つありましたが、そのうち3つはデパートの設備であり、営業時間外や休業日には使えないのです。トイレは車いす対応もあるのですが、やはりデパートのものであったり、かぎがかかっていて駅員を呼ばなければ使えないなど、大変使いにくい状況です。このようなことは放置できることではありません。直ちに関係機関に働きかけ、できるところからでも改善を求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。 次に、新宿駅西口バスターミナルについてです。 ターミナルの中心部は島のような細長い停留所が4つ並んでいます。そのうち1つだけは小田急デパートの前から横断歩道で渡れますが、他の3つは地下から階段で上がらないと停留所に行けないのです。したがって、車いすの方はこのバスターミナルを全く利用できません。また健常者の中には横断歩道のないところを無理やり渡っている方もいて、いつ事故が起きてもおかしくない大変危険な状態です。この件について道路管理者である東京都は、関連バス事業者、JR、新宿区と一緒に改善のための検討会をつくりたい意向があるそうです。これだけバリアフリーが叫ばれている現在、階段を上り下りしなければ利用できないバスターミナルがあるなどということは許されません。ぜひ新宿区としても東京都の呼びかけ待ちにせず、自らも調査して積極的に改善策を検討するべきではないでしょうか。 以上、バリアフリー法に関係して4項目にわたってお伺いいたしましたが、区長の見解をお聞かせください。 3点目は、営団地下鉄13号線建設にあたって、利用者本位の駅施設づくりを進めることについてです。 営団地下鉄13号線建設事業については昨年12月に各工区ごとの請負業者も決定し、本年4月の都市計画決定とその後の工事着工に向けて事業が予定どおり進捗しているようであります。地元区として建設事業に具体的に要望活動を行う上では、極めて大事な時期を迎えていると思います。また昨年12月、大江戸線が開業いたしました。この大江戸線が実際に開業してみて新たに気がついたり、利用者から指摘や要望が出ている問題もありますので、こうした点も踏まえて、以下、質問いたします。 第1は、前段でも述べた駅のバリアフリー化についてであります。 大江戸線にエスカレーターとエレベーターが設置されたことは、同線の計画時に障害者団体等が行った要望活動の重要な成果ですが、実際に利用してみると、エスカレーターが上りしかない、エレベーターが片方の出入口しか設置されていないなど一層の改善が必要とされていることが明らかとなりました。したがって、13号線についてはこうした経験を踏まえて、上下のエスカレーターや出入口ごとのエレベーター設置を強く働きかけていくべきではないでしょうか。現時点で13号線の駅施設のバリアフリー化がどう計画されているかという点を含めて、区長の見解をお伺いいたします。 第2は、駐輪場の設置についてです。 新宿区議会は昨年の第4回定例会で、13号線各駅へ駐輪場設置を求める意見書を東京都知事へ、同趣旨の要望書を営団の総裁に提出しました。区長は昨年の第2回定例会の答弁で、13号線の「駐輪場の整備につきましては重要なことと考えておりますので、その方策につきましてはあらゆる角度から検討してまいります」と述べています。駅施設の設計も終わり、工事が発注されている時点に立って、区議会の意見書などの提出を踏まえて駐輪場整備の見通しについて区長はどのようにお考えでしょうか、見解をお示しください。 第3は、関連して地下鉄開業に伴う既存バス路線の存続についてもお伺いしておきます。 大江戸線の開業に伴うバス路線の廃止、縮小が大問題になっています。13号線開業により、明治通りを走るバス路線が廃止されるようなことがあれば、その影響は極めて重大であり、一体何のための地下鉄開業かということになってしまいます。区長は今からこのことを視野に入れ、バス路線を存続させるための活動をしておくべきであると思います。お答えを求めます。 なお、大江戸線開業に伴って縮小、廃止されたバス路線の復活を東京都に働きかけることを重ねて求めます。このことについてもお答えください。 次に、国立国際医療センターが特定感染症指定医療機関病棟を建設する問題についてお伺いします。 昨年12月18日、国立国際医療センターは戸山ハイツ南自治会に対して、敷地内に特定感染症指定医療機関を含む病棟を建設すると発表しました。そもそも特定感染症指定医療機関とは、高い致死率で治療方法も未開発のエボラ出血熱やペストなどの感染症患者、加えて病状が重くて蔓延すれば重大な影響がある、これまで全く未知の新感染症患者の入院を担当する病院で、日本全国で2カ所しかつくらない予定の病院です。こんな重大な施設建設に対して、これまで何ら十分な説明がされていないため、2月9日、戸山ハイツ東西南北4自治会と戸山1丁目、3丁目、若松町会の7町会の会長名で、東京都に対して建築確認許可保留の要請書が提出されています。 隣の国立感染症研究所でさえ扱わないような危険なウイルスに感染した患者の入院施設ができるというので、地元には大きな不安が広がりました。昨年1月27日、自治会が主催して計画説明会が開催され、雪の中を多数の住民が参加しました。なぜ人口密集地にこのような施設をつくるのか、施設設備の安全性はたしかなのかなどなど、説明会では多くの不安や疑問が出されました。しかし、医療センター側の説明も配った資料も不十分で、参加者の不安や疑問はかえって増すばかりでした。説明会の中では、住民説明もないまま、既に1月24日に新宿区経由で東京都に建築確認申請がなされていることもわかり、参加者から怒りと批判が出たのは当然です。 この事態を重大視した我が党は、説明会の後直ちに、厚生労働省の担当官にヒアリングするなど調査に取り組んできました。そこで明らかになったことは、この建設計画は既に2年前に決まっていながら、それを建築確認申請の間際まで、約2年の間、地元住民にも新宿区にも口をつぐんできたということです。法律によれば、厚生労働大臣が特定感染症指定医療機関と指定するには都知事との協議が必要であるにもかかわらず、それもやっていません。我が党の指摘に対して説明の担当官は「新宿区からは何の連絡も受けていません。最近になって都の方から問い合わせがあったが、法文解釈上は協議さえすれば仮に成立しなくても指定は可能」とまで言っています。さらに驚くべきことに、患者の治療にあたる当該病院の職員にもいまだに知らせていないのです。 国立国際医療センターは、多くの区民が通院、入院する大病院です。敷地内に看護婦寮があるなど医療従事者にも多数の区民がいます。都営戸山ハイツアパートを初め周辺は人口密集地です。都や区の障害者施設もあります。隣接する戸山公園は区の広域避難場所でもあります。区長にはこれら関係者の生命と安全にかかわる不安を取り除く責務があります。 そこで区長に質問いたします。 第1に、本件計画に関して新宿区はいつの時点で事実を知り、どのように対応してきたのでしょうか。そして、病院職員、地元住民、新宿区、東京都の意向も聞かず、厚生労働省の独断専行で抜き打ちとも言うべき本計画が進められていることについて、区長はどのように受けとめているのでしょうか。 第2に、厚生労働省、国立国際医療センターに対して住民との合意が得られるまで本建設計画を強行しないこと、建築確認申請を取り下げた上で新宿区と詳細な協議を行うこと、区との協議抜きで建築を強行せず、ましてや指定はするなと申し入れすべきではないでしょうか。東京都に対しては建築確認許可の保留を求め、大臣指定にあたっての厚生労働省との協議に新宿区も参加させるよう要望すべきと考えます。 以上、2点について区長の見解をお聞かせください。 次に、商工振興策について質問いたします。 区内の中小小売業者とそれらを中心に組織されている商店街は、これまでに経験したことのない深刻な不況と、大型小売店やスーパーの進出によって大変な苦境に立たされています。区内の小売業店舗の中での大型小売店の出店は、この5年間をとってみても新たに8店舗が進出し、その売り場面積の占める割合は 75.6%と都内23区中第3位となっています。 そして、中小小売業者にとっての営業を困難に追い込んでいるのは大型小売店の出店に限らず、規制緩和のもとでのスーパーやコンビニでのお米の販売、お酒の量販店、そして衣料品店、薬局などの大量安売りチェーン店の出店でもあります。これまでの地域経済の担い手であり、さらには地域の町会活動や防犯、防災活動などの働き手として地域社会を支える大きな役割を果たしてきたおなじみの町のお店が、この間はあっち、今度はこっちと、その店の明かりが消えていく現状を見るとき、私は地域の中小小売業と商店街を支援する振興策は区にとっても待ったなしの課題であると考えるものであります。 新宿区産業振興会議の為崎委員は、区が今年度、都の商工指導所とともに実施した広域商業診断調査について、新宿区の商業の特性として都全体に比べ近年の開業率が高いことや、業種構成が飲食、サービス業の比率が高く業種構成が偏っていること、さらには都内において相対的に高い活力が維持されているが、一部の地域、業種がリードするものであり、地域間、業種間格差が存在することなどを分析しています。そして、区による商工振興策の課題として新宿区の商業特性への配慮、持続的発展のための支援、時代のニーズへの対応、既存施設の目的の明確化を上げており、区における今後の商業振興策について重要な示唆を示しています。 そこでお尋ねいたします。私はこの分析をもとにして区内の各商店会の代表はもとより、公募による区内中小小売業を営む経営者、さらには消費者である区民をも含めた「仮称・商業振興施策検討会」を産業振興会議を発展的に改組するか、もしくはそのもとに早急に立ち上げるべきと思いますが、いかがでしょうか。 第2には、商店街が行う共同施設整備事業や販売促進事業などに対して、その経費の一部を補助する都中小企業振興公社の中小企業振興基金事業に対して、区としても補助事業を行うことであります。 以上、2点について見解をお聞かせください。 次に、まちづくりと建築紛争の問題について質問いたします。 区長は区政の基本方針説明の中で、計画的なまちづくりの展開として過去10年間のまちづくりの動向を精査し、今後のまちづくりに役立てるため「まちづくり2001」の作成に取り組むことと、区内の土地利用の実態を把握するために土地利用現況調査を行うとしています。問題はこれらの計画や調査がどのような視点から行われ、そしてどのような方策で行われるかが問題ではないでしょうか。 最近も建築紛争は後を絶ちません。多くの住民が長く生活する居住地に新たに建築物が計画されると、日影ができたり景観が大きく変わるなど居住環境が著しく脅かされます。自分たちの地域に高層の建物が建って初めて、住民は自分たちの住んでいる地域の用途地域について認識することになります。住んでいる地域に日影の規制がないとか、建ぺい率や容積率が緩和されたことなどについて知ることになり、びっくりしています。また路線幅指定の30メートルへの拡大により道路沿いに高層ビルが建ち、後ろの住宅地の日照や眺望が奪われるという事態が相次いで起こっています。 新宿区では5年前の用途地域見直しで、路線幅指定の拡大や一定地域で高度地区や日影規制の撤廃が図られてきましたが、このことが区のまちづくりに大きく影響を与えてきたことは明瞭です。今、区が行うべきことは、区民の意向調査を行い、区民の人生や生活に大きく影響を与える用途地域の指定替えに改めて取り組むべきではないでしょうか。 福岡県の太宰府市では、これまで商業地域であったところに地上40メートルのマンション建設計画が持ち上がったところ、多くの住民が、景観を損ない日照が奪われることから建設計画反対に立ち上がりました。市は以前からこの地域に対して高さの制限など特別用途地区の指定を計画していたこともあり、昨年12月に特別用途地区の指定を行いました。市の積極的な対応の背景には、都市計画法の改正により都市計画決定が手続がかわり、従来に比べ市の権限が大きくなっていることが大きな力になったそうです。 新たに権限が拡大されたもとで本格的に区が住民意向調査に取り組み、思い切って高さ制限についても、場所によってはかけるような見直しを区民参加で行うべきだと思いますが、区長の見解をお聞かせください。 あわせて、中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例の改正について質問します。 この間の建築紛争に見られるのは、建築主側が計画についての説明を事前のあいさつ程度で済ませ、説明会を行わないことから住民との間でトラブルを生んでいます。説明会の開催を義務化するように改正すべきだと思いますが、区長の見解をお聞かせください。 次に、サッカーくじについて、区長と教育委員会にお伺いいたします。 この3月から全国販売される予定のスポーツ振興くじ、いわゆるサッカーくじの実施概要が2月9日、実施者である日本体育・学校健康センターから発表されました。販売店は東京では現時点で 617店舗、本区ではなんと43店舗も予定されています。このサッカーくじで多くの国民が最も危惧しているのは、青少年への影響です。文部科学省は盛んに心の教育が大事だと叫んでいますが、その文部科学省が胴元になりギャンブルを推進し、青少年の心を惑わそうというのですからとんでもありません。 新宿区議会も3年前、サッカーくじに反対する意見書を全会一致で可決提出しています。教育委員会も我が党の質問に対して、「子供に及ぼす影響に大きいものがあり、青少年の健全育成の観点から望ましいものではない」「サッカーくじでの財源確保は青少年の健全育成の視点から望ましいものではない」と答えています。ところが、本区での発表された販売店の場所は新宿駅周辺が最も多くなっていますが、それ以外にも、例えば都立山吹高校の隣のガソリンスタンドや都立戸山高校を初め、区立の戸塚第一中学校や学習院、早稲田大学の間近にあるお弁当屋などは、19歳未満の青少年がおのずと集まるところに予定されています。それ以外にも携帯ショップ店や安売りチケット店など、青少年も気軽に利用するような場所が多くあります。 昨年の10月から11月にかけてテスト販売を行った静岡県では、わずか2回の実施でありましたが、マークシートは新聞折り込みで家庭に入り、印刷枚数は県民人口を超える 389万枚、ガソリンスタンドの「目指せ1億円」の広告には19歳未満禁止など一言も書かれていない、さらに県内の学校では小遣いを持ち寄って試合結果を予想するというゲームが行われているなど、19歳未満への販売禁止措置が抜け穴だらけであることなど青少年対策への危惧が明らかになりました。この事態を受けた県議会が全会一致で「今日、次代を担う青少年が心身ともに健やかに成長することは国民の共通の願いである。児童、生徒らの教育に重大な悪影響を及ぼしていると見るときは、停止を含む適切な対応を検討し、青少年の健全育成対策に万全を期すよう強く要望する」という意見書を提出したのです。 全国実施は3月3日と目前に控え、早急に区としても対策をとるべきではないでしょうか。 そこで、質問をします。 第1に、区長並びに教育委員会は静岡県でのテスト販売の反応を、青少年健全育成という立場からどう受けとめられているのでしょうか。また、本格実施前に実施を見送るよう、国、文部科学省に緊急要請すべきではないでしょうか、見解を伺います。 第2に、少なくとも小・中学校及び高等学校などの周辺、通学路の販売店に対し、販売の自粛を要請すべきですし、仮に実施する場合にも19歳未満には絶対に販売しないよう要請すべきです。また区広報や「しんじゅくの教育」など、あらゆる媒体を活用して、“19歳未満へのサッカーくじの販売は禁止されています”と大キャンペーンをすべきではないでしょうか。 第3に、サッカーくじなどについて教職員とPTA、児童・生徒、地域の方々ともよく話し合い、子育て環境の改善の協働を強める努力を教育委員会ルートや青少年対策のルートなどあらゆるルートから推進すべきと思いますが、いかがでしょうか。 以上、3点について区長並びに教育委員会の見解をお伺いします。 以上で私の質問を終わります。長時間にわたり御清聴ありがとうございました。(拍手) ◎区長(小野田隆) 雨宮議員の代表質問についてお答えをいたします。 まず、政治姿勢について、「えひめ丸」「機密費」「KSD問題」、それぞれどう認識し、なぜ起きたかとお尋ねでございますが、御質問にお答えする前に、「えひめ丸」事故に遭われました方々に対しまして心からお見舞いを申し上げますとともに、現在も行方不明であります9名の方々が一日も早く発見されることをお祈り申し上げます。 さて、「えひめ丸」の事故についてでございますが、原子力潜水艦「グリーンビル」の不注意により発生したもので、2度とこのような不幸な事故が起こらないよう徹底した原因究明と事故防止策が講じられることを強く願っております。発生原因につきましては関係機関の調査が行われておりますので、その結果に関心を持っているところでございます。 次に、機密費についてでございますが、国民の負担による公金の使途や処理方法の問題であり、報道されている内容が事実であるならば、まことに遺憾なことと認識をいたしております。原因につきましては、現在司法当局及び政府、国会の議論の中で調査中でございますので、発言する立場にはございません。 次に、KSD問題についてでございますが、この問題につきましても報道内容が事実であるならば、まことに残念なゆゆしき問題と認識をいたしております。原因につきましては、現在司法当局及び国会において調査している段階でございますので、発言については控えさせていただきます。 次に、報道機関における世論調査での森政権の支持率についてどう考えているかとのお尋ねでございますが、数字上から言えば支持率が低いと言わざるを得ません。 また、支持率の低迷はなぜかとの御質問でございますが、御指摘の「機密費」「KSD問題」「えひめ丸」等が連続してマスコミにより疑惑として報道されている影響からではないかと推察しております。 次に、企業団体献金の禁止についてどう考えているかとのお尋ねでございますが、昨年の第4回定例会でも御答弁をさせていただきましたように、政治資金規制法の定めるところによりまして、適正な運用がなされればよろしいのではないかと考えております。 次に、基本方針説明についてでございますが、あらゆる社会的制度を機能不全の危機に陥らせた政治の責任をどう認識しているのかとのお尋ねでございますが、国であれ地方であれ政策を担当する者は、政策決定にあたって社会環境や経済状況の変化等を予測した上で将来構想を練り、最善の結果を求めて取り組んでいるところでございます。しかし、20世紀の最後の10年間は予想を超えたさまざまな、かつ大きな変化をもたらしました。このような状況だからこそ、急がれるのは結果としての政治責任をどう認識するかではなく、これからをどう乗り越えていくかを期待してまいりたいと認識しております。 また、自民党政治にこの危機を打開する期待が持てるのかとのお尋ねでございますが、今、国民が求めているのは景気の回復、雇用の安定、老後の生活等安定と安心に包まれた生活です。国民の期待にこたえるためにも今は国会が知恵を出し合い、協力してこの危機を打開することが望まれているのではないかと認識しております。 次に、この10年間の不況下の区民生活の実態をどう認識し、またそうした実態を踏まえた区政の役割をどう考えているかというお尋ねについてでございます。 時代の転換期とも称すべき今日の経済状況のもとで、日ごとに区民生活が困難の度合いを深めておりますことは、私も十分承知をしているところでございます。平成13年度の一般会計当初予算における生活保護費の伸びは20%を超える実態となっているのでございます。こうした区民の皆様の困難な状況を踏まえればこそ、区民生活を支える区政の財政基盤の確立と行財政運営能力の質的な改革に早急に取り組まなければならないものと、焦りにも似た思いを抱いているのが偽らざる私の心中でございます。 時代の変化にさらされている区民生活の安定と向上を目指して、打てば響く区政の確立に渾身の努力を重ねる覚悟であります。区民生活を守るべき局面の変化には目もくれず、ただただ旧態依然たる手法にのみ寄りかかり、結果としては区財政を破綻に導くがごときは、区政を託していただいた区民の皆様の信頼に背くことであると私は思うのでございます。 次に、民間企業におきます不祥事を踏まえた上で、行政の民間委託をどう考えるのかとのお尋ねでございます。 御指摘にもございました民間企業の不祥事をとらえて、すべて市場原理がもたらすマイナスの側面であるという議論には、率直に申し上げまして私はくみする考えを持っておりません。御承知のように、市場の機能は資源の最適配分において、これにまさるシステムがないからこそ、今や全世界において活用されているのであります。もとより、そのマイナスの局面をどのように是正するかという問題があることは私も承知をいたしております。しかし、だからといって市場がその有効性を失うことはないというのが私の基本的な認識でございます。 区政における民間委託の推進は、御承知のとおり地方自治経営学会の報告書などに示されるとおり、公立に比べコストが安く、かつサービスが向上するからこそ実施しようとするのでございます。区民の皆様の納める税をできる限り有効に使って、区民サービスの供給を続けることが今日の時代の行政の役割であると考える次第でございます。 市場経済のマイナス局面の是正につきましては、国家としては独占禁止法のような措置が講じられておりますし、自治体行政の分野でも介護保険における事業者指導などの実施は、いずれも市場のマイナス局面を是正する措置でありまして、私としては民間委託を積極的に進める傍ら、これらの是正措置についても配慮していく考えでございます。 次に、人事管理についてのお尋ねでございますが、今日における区の置かれている厳しい状況を打開していくためには、職員一人一人が全体の奉仕者として区民のための区政を実現するためのプロとならなければなりません。そのためには、現在の職員の意識においても反省すべき点は厳しく反省することが必要であると考えております。また能力、業績の評価、生産性の向上といったものは、民間、自治体を問わず、組織の活力を高めるためには大変重要な要素だと認識いたしております。いずれにいたしましても、民間でも他の自治体でも学ぶべき点は謙虚に学ぶという立場に立って、区民のための区政を実現するため、職員の育成と管理に意を尽くしてまいる所存でございます。 次に、財政運営についての御質問でございます。 初めに、区財政が小康状態になり得た要因について明らかにすべきとのお尋ねでございますが、基本方針説明で申し上げましたとおり、平成8年の開かれた区政推進計画の策定を初め、各般にわたる累次の対策を実施し、あわせて区民の皆様の深い御理解と御協力をいただいた結果であると考えております。このことによりまして、予算の概要でもお示しをしているとおり、平成13年度予算では財政調整基金を充当する財源不足額は20億円となり、前年度に比較いたしまして17億円少なくなっているところでございます。また財政フレームとの比較では15億円の圧縮となっておりますが、特別区交付金など一般財源の増加分とあわせて、前年度に引き続き30億円の経費削減などを行った効果であると理解しております。 また財政見通しについて、区政改革プラン策定時との比較をした上で示せとのお尋ねでございますが、第2次実施計画の財政フレームにつきましては区政改革プランなどの経費削減効果を織り込んで作成したものでございますので、財政フレームと平成13年度予算との比較で御理解をいただきたいと存じます。 次に、財政調整交付金の増収分などを財源とした対応についてのお尋ねでございますが、これらの財源につきましては、今後の経済状況など楽観視できない現状におきましては、後年度への備えとすべきものと考えており、新たな助成制度など緊急要求につきましては実施することは考えておりません。 続きまして、再開発事業など投資的事業からの転換についての御質問でございます。 御承知のように、区内には道路・交通施設等の都市基盤施設や公園・広場等のオープンスペースの整備が十分でなく、防災性や住環境の点から課題を抱える地域がいまだに広く分布していることから、区としてもこれらの課題を着実に解決していく必要があると考えております。確かに区財政の状況はいまだに厳しいことにかわりはありませんが、将来のあるべき新宿の都市像実現のために、道路等の社会資本の整備を図っていくことは重要であります。私としましては、再開発事業等まちづくり事業の実施にあたっては、地域の特性に応じて行政と民間との役割分担を明確にした上で、区民の生活環境を改善するまちづくりを適切に誘導していくための必要な支援をするなど、行政の責務を果たしてまいりたいと考えております。 次に、石原都政についてでございますが、「東京構想2000」「都庁改革アクションプラン」「税制調査会答申」に関してどのように受けとめているかとのお尋ねについてでございますが、「東京構想2000」については石原都知事が就任して初めての基本構想であり、2015年までの都政運営の方針であると認識しております。21世紀の東京の目指すべき将来像を具体的な目標数値を示し、都民の皆様に提示したものであり、都知事の考えを明確にしたものと理解いたしております。 「都庁改革アクションプラン」については、「東京構想2000」を実現するためには、現下の都財政の危機的状況を当面の財政危機克服策として据えるだけではなく、東京の将来像を見据えて、それにふさわしい行財政システムを再構築し、都政運営の効率化、都民サービスの向上のための改革プランであると認識をしております。 また「税制調査会の答申」は、今後の地方主権の確立、真の地方自治確立のため、実現していかなければならない国及び地方の税財政のあり方を提起したものと認識しております。 次に、区民の立場に立って意見や批判をとのお尋ねにつきましては、都民、すなわち区民の皆様に関する都政としての将来構想でありますので、強い関心を持っているところであります。新宿区政におきましても、開かれた区政推進計画を初め累次の対策を区民の皆様の協力をもとに進めている現状から、私が目指しております区政への影響を勘案して、支障が生ずるような事態が発生した場合は、区長会等を通じて意見を申し述べてまいりたいと考えております。 次に、介護保険についてお答えをいたします。 初めに、介護保険の保険料や利用料の軽減策についてでございます。介護保険制度は介護を国民みんなで支え合うものであり、保険料は所得段階ごとに応分の負担をいただいております。国からも保険制度の趣旨に沿って保険料の全額免除、収入のみに着目した一律の減免、保険料減免分に対する一般財源の繰り入れは適当でない旨、通知を受けております。 また、利用料負担につきましても、公平な負担に基づくサービスの提供という介護保険制度の趣旨から、経過的措置は例外として、1割の自己負担をお願いしております。一部自治体で利用料の軽減策が行われておりますが、介護サービスは自治体の境界を超えて民間事業者によって提供されております。これに対し、自治体ごとに取り扱いをかえることはケアマネジャーやサービス提供事業者に多大な負担をかけ、現場の混乱を招くという問題を抱えております。介護保険制度実施後1年を経過し、御指摘のような低所得者をめぐる状況があるとしても、それは各自治体の対応によって解決を図る性格のものではなく、生活保護等の総合的支援によって、国制度による全国的な解決を求めるべきものと考えております。したがいまして、新宿区単独で減免策を講じることは考えておりません。 次に、緊急入所用ベッドの確保についてでございます。 御案内のとおり、介護者が急病等のため残された介護を必要とする人の対応につきましては、東京都が来年度から緊急ショートステイ事業を実施する予定でございます。御指摘の介護保険のショートステイと別に医療的対応として、介護を受けている在宅療養者本人の病状により、主治医が入院を必要と認めた場合は、緊急一時的に入院できる病床を区内の病院に確保しております。また医療的対応が必要とされない人につきましては、区立特別養護老人ホームのショートステイ床にあきがある場合は、できる限りの対応をしているところでございます。 次に、新大久保駅の転落事故でございますが、安全な鉄道駅づくりに関するお尋ねでございます。 今回の事故は転落した場所に待避スペースがなく、ホーム上には駅員も不在であったなどさまざまな要因が複合して起きたものと聞いており、私としてもそのように思います。身の危険も省みず救助に当たられた2名の方及び転落した方の3名の尊い人命が失われたことは誠に残念でありまして、私も弔意を込めて献花したところでございます。 次に、鉄道事業者や国に対して安全な駅づくりについて要請すべきとのことでございますが、私は転落事故が相次いで起きていることから、本年2月15日付で東日本旅客鉄道株式会社を初め区内各鉄道事業者に対しまして、乗客の安全確保について要望したところであります。また国におきましては、鉄道事業者に対し転落事故における安全対策及び駅構内における酒類販売に関する検討について具体的な指導をしておりまして、私といたしましては各鉄道事業者や国の動向を見つめてまいりたいと考えております。 続きまして、交通バリアフリー法についてのお尋ねでございます。 最初に、バリアフリー化の整備事業について、既存施設の改修が努力義務にとどまっていること及び補助金制度にある自治体負担を解消して、原則として交通事業者が負担するよう国へ要求していくべきとの御質問でございます。区といたしましては、駅施設のバリアフリー化につきまして、既存施設であっても法の趣旨を踏まえてできるだけ早期に改善すべきであることから、既存、新設にかかわらず、費用の負担は原則として交通事業者が負担すべきものと認識しております。今後も、この認識のもとに交通事業者に働きかけてまいります。 次に、基本構想作成に関する御質問でございます。 区では駅及び駅周辺のバリアフリー化の状況について調査中でございまして、今後は個々の駅等における障害者や高齢者の利用実態の把握に努めていく考えでございます。あわせて障害者等の団体からも意見を伺ってまいります。したがいまして、直ちに委員会等をつくる段階ではございません。また、これらの調査を通じて得られた早急に改善が必要な箇所につきましては、従来どおり関係機関に早期の改善を要望してまいります。 次に、新宿駅及びその周辺におけるバリアフリー化に関する御質問でございます。 新宿駅は全国最多の乗降客数を抱えており、交通結節点としての要衝でもあります。区では既存のバリアフリー施設がより使いやすいものになるよう働きかけてまいりましたが、今後とも、さらなる改善に向けて要望してまいります。 また、新宿駅西口のバスターミナルについての御質問でございますが、プラットホームへの通行は主に階段利用によることから、バリアフリー化が十分であるとは認識しておらず、今後とも道路管理者である東京都及び交通事業者に対して改善を要望いたしてまいります。 続きまして、営団地下鉄13号線の駅のバリアフリー化についてのお尋ねでございますが、営団地下鉄13号線の駅施設は、現時点で詳細設計まで至っていないと聞いておりますが、駅の出入口ごとのエレベーター設置は、事業者と駅出入口にかかる地権者との調整や物理的な制約もございます。しかし、鉄道は私たち区民にとって身近な交通機関でございますので、高齢者や障害者を含めたすべての区民や利用者が円滑な移動ができる便利な駅施設になることが重要であり、駅施設全体のバリアフリー化は交通バリアフリー法や東京都の福祉のまちづくり条例に基づいた事業者の責務であると考えます。このようなことから、営団に対しまして、利用者の立場に立った実効性のあるバリアフリー化を推進するよう働きかけをしてまいります。 地下鉄13号線建設に伴う自転車駐車場を設置することにつきましては、私といたしましてもかねてから帝都高速度交通営団に対して要望しておりますが、地下部分については構造上不可能な箇所があることや、躯体築造や出入口の用地費などの莫大な費用が区の負担となり、設置は困難と考えております。また新駅周辺での用地確保につきましても、土地利用状況を勘案すると厳しい状況にありますが、営団へ引き続き協力を要請するとともに、区としても新駅への自転車等の利用状況の予測を見極め、設置の可能性について検討してまいります。 続きまして、地下鉄開業に伴う既存バス路線の存続についてのお尋ねでございますが、初めに営団地下鉄13号線開業後の明治通りのバス路線への影響につきましては、平成13年度中に予定される乗合バス事業の規制緩和により、都営バスを含むバス事業の活性化が予想されておりますので、バス事業者の動向、情報収集に努めてまいります。 次に、大江戸線開業に伴う都営バス路線の再編整備につきましては、再三にわたり、利用者の意向を重視し再検討されるよう要請してきたところでございます。しかしながら、東京都は事業採算性の確保が重要との考え方を変えておりません。このことにつきましても規制緩和後のバス事業の活性化が見込まれますので、その動向を見据えてまいります。 次に、国立国際医療センターが特定感染症指定医療機関病棟を建設する問題についてのお尋ねでございますが、関連いたしますので、取りまとめてお答えさせていただきます。 まず、新宿区は事前に説明を受けておりません。本年1月上旬に住民説明会があったとの情報を得ましたので、直ちに建設計画についてセンター側に説明を求め、安全対策などについて住民に対し十分な説明を行うよう要請したところでございます。 次に、この感染症病棟は感染症の予防及び感染症患者に対する医療に関する法律に基づく治療施設でございまして、法の手続や基準を満たすことが重要であると考えております。区といたしましては建設される感染症病棟の安全確保に万全を期するよう訴えるとともに、住民の不安解消のため、十分な情報提供がなされるよう引き続き要請をしてまいります。今後とも説明会等の推移を注意深く見守りながら、適切な対応に努めてまいります。 次に、商業振興についてのお尋ねについてでございますが、まず産業振興会議を改組するか、またはそのもとに仮称・商業振興施策検討会を早急に立ち上げるべきとの御質問でございますが、産業振興会議には、これまでも産業団体や事業者からのヒアリングを行いつつ、基本的な考え方や個別商工施策の見直しを検討してきていただいております。今年度には、区内商店街実態を把握し有効な商業活性化策の企画立案のための基礎資料とするために、広域商業診断を実施いたしました。平成13年度には、この広域商業診断の結果を個別商店会に御提示し、ヒアリングも実施いたしますが、そこでいただく御意見を産業振興会議に反映させ、再び商工施策全体に戻って、そのあり方をまとめることになっております。この産業振興会議には商店会及び消費者団体関係者にも委員をお願いしております。したがいまして、特に産業振興会議の改組等をすることは、現在考えておりません。 次に、都中小企業振興公社の中小企業振興基金事業にあわせた区の補助についてのお尋ねでございますが、施設整備事業につきましては商店街に大きな負担となるため、都の中小企業振興基金の助成とあわせて、区が商店街近代化助成制度により事業費の30%、限度額1,000万円を助成しているところでございます。その他の販売促進事業に対しましては、都の助成とあわせて区が助成することは考えておりません。 なお、都が平成14年からの助成制度を変更するとしておりますので、その推移を見てまいりたいと考えております。 続きまして、建築物の高さの制限についてのお尋ねに御返答申し上げます。 そうした制限をするためには、地域の方の合意を前提として地区計画制度等を活用する方策があります。区では内藤町の事例のように、これまでも地域の方の意向を踏まえたまちづくりを支援してまいりました。今後ともまちづくりにあたっては地域の方の意向の把握に努め、地区計画制度等の活用を図ってまいります。 なお、東京都では、今後広域的な都市計画マスタープランの策定にあわせて、用途地域の見直しに着手する予定と聞いております。その際には、従来から行っている説明会や案の縦覧に加えまして、インターネットによるパブリックコメントの活用を図るなどして区案を策定してまいります。 次に、中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例のお尋ねでございますが、条例では説明会等の方法により、近隣関係住民に説明しなければならないとしていることから、建築主に対し説明会等の方法の主旨を十分説明し、建築紛争の未然の防止のために自ら積極的に説明会を行うよう強く指導しております。 しかし、地域の実情や建築計画の規模によっては個別説明でも計画内容が伝わる実態があります。したがいまして、説明会の開催の義務化につきましては一律に義務化を図ることは、現在のところ考えておりません。今後ともこの条例の一層適切な運用を心がけ、建築主に対して積極的に説明会を行うよう指導してまいります。 次に、サッカーくじについてのお尋ねに一括してお答えいたします。 スポーツ振興投票、いわゆるサッカーくじにつきましては、我が国におけるスポーツ振興のため、諸外国の例を参考として実施されるものと受けとめております。 静岡県内における昨年のテスト販売の際には、年齢チェック等の販売体制が不徹底なことが問題となりました。この結果を踏まえ、本格実施にあたっては19歳未満の購入禁止を徹底するためのより強い措置をとると聞いております。区といたしましては本格実施の推移を見守るとともに、教育委員会を初め地区青少年対策委員会等の青少年育成団体や青少年関係機関と連携して対応いたしたいと考えております。 その他につきましては教育長から御答弁申し上げます。 ◎教育長(山崎輝雄) それでは、教育委員会への質問にお答えいたします。 サッカーくじについてのお尋ねでございます。 サッカーは青少年に関心の高いスポーツであり、子供に及ぼす影響は大きいものがあると考えています。静岡県で行われたサッカーくじテスト販売の問題点を踏まえ、青少年の健全育成の観点から特に配慮が必要であると認識しております。また、実施にあたりましては法律上も公益に反するまたは反する恐れのある行為をしたときや、児童・生徒等の教育に重大な悪影響を及ぼしていると認めるときの停止措置が規定されておりますので、法律を遵守しているか等含め動向を見守ってまいります。さらに、国や文部科学省に対しましては、青少年に重大な悪影響を及ぼしていると認めるときは、販売停止するなど万全の対策を講じるよう要望してまいります。 次に、小・中学校、高等学校などの周辺の販売店に対しましては、児童・生徒への販売禁止措置を実効あるものとするために、対面販売や身分証明書の提示などの徹底を図るよう協力を求めていきたいと考えております。区民の方への周知につきましては、あらゆる機会をとらえ、19歳未満への販売禁止など青少年に配慮したPRを講じてまいります。また、青少年の健全育成や子育て環境の維持改善につきましては、学校やPTA及び地域の青少年健全育成団体等の関係機関の提携を密にし、さまざまな機会を利用して協力を要請していきたいと考えております。 以上で答弁を終わらせていただきます。 ◆42番(雨宮武彦) 自席から発言をさせていただきます。 ただいま、区長並びに教育長から御答弁をいただきました。本来であれば幾つか再質問をしたいところでありますが、今定例会では予算特別委員会が設置されることになっております。同僚議員を通じて、不十分な点については予算特別委員会において質問をさせていただくことにいたしまして、この場での再質問はいたしません。 以上で終わります。(拍手) ○議長(小沢弘太郎) ここで、議事進行の都合により、15分間休憩します。 △休憩 午後3時35分 ------------------------------------- △再開 午後3時52分 ○議長(小沢弘太郎) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。 16番山添巖君。   〔16番 山添 巖君登壇、拍手〕 ◆16番(山添巖) 平成13年第1回定例会の開会にあたり、新宿区議会公明党を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。 前者の質問と重複する点があるかと思いますが、趣旨の違いを御斟酌いただき、明快なる御答弁をよろしくお願いいたします。 冒頭、エルサルバドル及びインド西部を襲った大地震において、犠牲者を初め多くの被害が出ております。被災者に対して心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。 また、JR新大久保駅でホームから転落した男性を助けようとした男性2人も亡くなるという痛ましい事故が起きました。我が身の危険も顧みず助けようとした勇気ある行動に深く敬意を表するとともに、衷心よりお悔やみ申し上げます。1日も早く、同様の事故が起きないよう万全の安全対策を求めるものであります。 さらに、ハワイ・オアフ島沖で愛媛県立宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」が米海軍原子力潜水艦「グリーンビル」に衝突され、沈没するという信じられない事故が発生いたしました。既に事故発生から17日が経過しましたが、米国側から事故当時の原潜のずさんな航行状態が明らかになるにつけ、関係者は無論のこと、私自身も激しい怒りを覚えずにはいられません。とにもかくにも事故に遭われた実習生や乗組員に心からお見舞い申し上げますとともに、今後、船体の早期引き上げ、行方不明9人の救出、捜索への万全の努力と衝突原因の徹底究明、さらには人的、物的被害に対する最大限の補償など、米国に対して強く要請するよう日本政府に毅然たる対応を求めるものであります。 さて、経済至上主義に支配された我が国の20世紀は、主体者である人間より国家や産業、大企業の利益が優先されたと言っても過言ではありません。大量生産、大量消費に明け暮れ、限られた資源を浪費するなど見失われた価値観のもとで環境破壊や複合的経済危機を招き、さらには少子高齢化、教育の荒廃など重大な問題が噴出し、新世紀に引き継いだ負の遺産は余りにも多大であります。しかし、その反省と教訓もあるだけに、難題は山積していますが、新しい時代に適応する価値観や秩序を構築していけば、危機克服への進路を切り開いていくことは決して不可能なことではないと考えます。 時代は今、変化を求めて激しく動いています。時代のキーワードは、まさに改革の断行であります。それには政治の果たすべき役割は極めて大きいと言えます。もし改革がストップするようなことがあれば、変化の向こうにある、希望と活力ある新世紀を構築していくことが不可能になることは間違いありません。したがって、我々政治に携わる者として改革への歩みを断じてとめるわけにはまいりません。今後も現場第一主義に徹し、多様化して目まぐるしく変化する区民のニーズに的確かつ迅速に対応できるよう、区政推進に全力で取り組むことをお誓いし、前置きが長くなりましたが、具体的な質問に入ります。 質問の第1は、区政の基本方針説明についてお伺いいたします。 昨年は地方分権一括法が施行され、都からの清掃事業移管などがあり、新宿区も基礎的自治体としての地位を法律上でも獲得し、新たな自治体運営の時代に入ることになりました。このことは20世紀の最後を飾るにふさわしい記念の年であったと言えましょう。 さて、平成13年度は21世紀の巻頭を飾る第1年度であります。新しい世紀はいよいよ個々の自治体の真価が問われることになることは私から申し上げるまでもないことであります。それだけに、新宿区としても従前以上にそれぞれの地域の特性や民意の動向に根差して、個性的で夢と安心に支えられた区政をこの幕開けの新しい世紀に展開していかなければならないと考えます。 その意味から、第1回の定例会で各自治体のリーダーの夢や大胆な発想、大いなる抱負が表明されるであろうと、それぞれの住民が重大な関心を寄せているに違いありません。私も小野田区長が21世紀の自治体像をどのように披瀝されるのか、区政の基本方針説明を注目して拝聴したところであります。しかし、方針説明の冒頭で、「平成13年度は21世紀の巻頭を飾る第1年度であります」と表明されながらも、今後10年間を見通すときの状況の変化や予測について述べるにとどまっておられます。どこの自治体の長でも一応の任期があろうとも、新世紀を迎えて改めてどのような自治体像に方向づけていくか、まさに夢と希望と安心を内蔵したビジョンを披瀝しているものと思いますが、この点について所信が見られなかったことは、一区民としてまことに残念でなりません。 そこで、改めて区長にお伺いいたします。 1,000年に1度の新世紀の幕開けです。区長はこの21世紀の新宿区の自治体像についてどのような夢、抱負、ビジョンをお持ちなのか、区長の構想される望ましい新世紀の新宿像についてお聞かせいただきたいと存じます。 次いで、小野田区長は3期目の就任時に課題として上げた、厳しい試練の克服と大いなる可能性への挑戦の双方を一体として、これからの2年間、課題の解決に邁進する決意を表明されています。大変心強い決意であり、私どもとしてもできる限り協力してまいりたいと考えます。この2つの課題を区民の立場から考えますとき、苦しい家計の中で負担増という厳しい試練をやむなく受け入れる一方、安心して夢と希望の持てる、生活向上への大いなる可能性を求めているに違いありません。向こう2年間、この大いなる可能性をどのように具体化されるおつもりなのか、お伺いいたします。 続いてお伺いいたしますが、平成13年度一般会計予算案によりますと、この中で財政調整基金を充当する財源不足額は20億円、前年度に比べ17億円の減少となったようですが、このこと自体喜ばしいことであり、行財政改革の積み重ねの結果であると評価するものであります。ただ、このことについて区長は基本方針説明の中で、「従前から財政健全化に向けた取り組みの成果があらわれたことによるものです」と述べられています。ともすると行政側の努力の結果が成果にあらわれたような表現に私は思えてなりません。行政側の努力がまだ十分とは思えませんが、あったことは否定するものではありません。しかし、区政改革プランや施策の見直し、圧縮もあって、この程度の取り崩しで済んだのではないかと思います。その影に区民の汗と涙がにじむような理解と協力に追うところが大きいのではないでしょうか。健全化に向けた取り組みという言葉の中にそのことも含まれているものと推察します。 私は言葉じりをとらえて云々するつもりはありません。言葉は思いのあらわれというように、小野田区長に理解と協力をしてくれた区民への感謝がほとばしるものでなくてはならないと思うからであります。まして、これからも区民の皆様の御理解と御協力なしには財政再建の道筋をつけることはできないわけであります。この私の指摘について区長はどのように受けとめられたかお聞かせいただきたい。 質問の第2は、財政非常事態と今後の財政運営についてであります。 1点目は、財政非常事態の見通しについてお尋ねします。 平成13年度の予算編成にあたっては、その厳しさに変化はないにしても、これまでの予算編成時に比べるといささか円滑さが出てきているように思われます。これまで予算編成になると「来年度予算が編成できない」などと発言されていたことから考えますと、一縷の望みを持って私は受けとめているところであります。 ところで、小野田区長の2期目、3期目は財政非常事態宣言を出したままの8年間になるのではないかと心配する1人であります。また非常事態が長期間続くと、それがいつの間にか平常事態のように受け取られるのではと危惧しております。小野田区長は長い財政非常事態というトンネルの中にあって3期目を終えるのでありましょうか。せめて区民のためにも、区長自身のためにも、トンネルを抜けると雪国ならぬ春の足音が聞こえてくるぐらいにしてほしいと思います。そのために私どもも応援してまいりたいと考えております。 この6年間、区民の皆様はもとより職員の皆さんも暗い気持ちの中で過ごされてこられたと思います。ですが、私は厳しい試練の克服と大いなる可能性への挑戦を果敢に行うとき、この宣言が取り消され、小野田区長の区政の路線もしっかりと後世に引き継がれていくものと確信いたします。いつまでも非常事態宣言下にあるのではなく、この宣言を解除する時期とタイミングをそろそろ考えることが大切であると思いますが、区長はどのように考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。 2点目は、区財政のバランスシートから見た特別区債残高の削減問題についてであります。昨年秋に公表された当区のバランスシートによりますと、資産額が負債額を上回る、いわゆる資産超過状態になっております。これだけ見れば財政状況が良好であるかのような印象を受けます。しかし、資金のフローという現金主義の立場から見ますと、現実には予算編成において、毎年度恒常的な財源不足に直面しています。この主な要因は、負債の大部分を占める特別区債の元利償還にかかわる一般財源負担が大きいためと推測されます。ともかく特別区債の残高は、依然として 500億円規模を維持しているために、区債の元利償還金が平成13年度でも66億円に及んでいる状況です。この傾向は当面変わらない見通しですので、事態を放置すれば一般財源の不足現象はますます深刻化します。経営難に陥った民間企業では有利子負債の圧縮が至上命題であることは言うまでもありません。自治体経営においてもまた同様と考えます。 そこで、区債残高の削減方法について2点、区長の御見解をお伺いいたします。 その1つ、区債残高の約38%を占める減税補てん債等の償還方法についてであります。平成13年度末で 181億円にも上る本区債に限っては、たしか都区財政調整交付金の中で、その元利償還金が都知事の定める額として態容補正的に毎年度算定されているはずです。つまり、償還金が理論上、交付金で補てんされている計算になっているわけであります。であるならば、この償還金相当分を他と区別して、優先的に減税補てん債等の償還金に充当するのが当然ではないでしょうか。そうすれば、他の一般財源からの持ち出しはほとんど不必要となるはずです。この点についてのお考えをお聞かせください。 その2、区債残高の約62%を占め、平成13年度末で 292億円の残高となる他の区債の償還方法についてであります。これらの区債は投資的経費の特定財源として充当され、用地や施設などの有形固定資産の形成に寄与した借金であります。そこで、本区債の償還に必要な財源は、売却可能な有形固定資産の売却益をもって充てるのが順当でありましょう。特に今後予定されている区有施設の適正配置を検討される際には、必ずこの視点を加えていくべきであると考えます。なぜなら、民間部門、公的部門を問わず、苦しいときに資産を活用することは今や共通の原則だからであります。 以上、2点について区長の御見解をお伺いいたします。 ところで、企業会計の専門家からは、公会計について「未来と資産を見ない会計」とまで酷評されております。公的会計制度が現金主義に立脚しているがゆえに、ともすれば資金のフローのみに注意を奪われ、それによって形成された資産の積極的活用への努力は怠りがちであります。今後の財政運営方針として、資産の積極的活用による負債の極小化を具体的に上げるときが到来したと考える次第です。バランスシートの作成が単なる分析と研究に終始することなく、実質的成果を得られるよう期待するものであります。 3点目は、区財政再建に向けた財源確保への取り組みについてであります。 第1の質問は、区税徴収嘱託員制度についてであります。 現在、全庁的な増収対策を実施中だと思います。予算説明書によりますと、平成13年度は嘱託員10名と職員6名の増員配置が予定されていますが、まずは大きな成果が出ることを期待し、2点についてお尋ねいたします。 1点目、これまでの成果はどうか。また、平成13年度の増収目標が3億 4,000万円とあるが、以前の説明では2億 5,000万円となっていたと思う、この違いはなぜか。 その2、職員を増員配置した理由は何か。またこの制度は恒久的なものなのか、臨時的なものなのか。 以上、2点について御説明ください。 第2の質問は、法定外新税についてであります。 新宿区も研究会を設置し、これまで検討されてきたと思います。そろそろ最終報告の時期が近づいていると思いますが、中間報告で示された5つの課題について、どこまで検討がなされているのか、また最終報告はいつごろになるのかをお聞かせください。 さらに、今話題になっている日本中央競馬会の場外馬券売り場の売り上げに課税する新税案についてお伺いしますが、新聞報道によりますと、売り場を持つ6区が同じテーブルについて検討されたと報じられています。その中で、中央、墨田は「有力候補の1つ」と前向きで、渋谷、台東は「検討していない」とし、新宿、港は「可能性あるが」と慎重な姿勢としています。この違いは、やはり財政状況の違いや財政健全化への取り組み姿勢の違いにあると思います。検討もしくは慎重姿勢をとっている区は「新税導入による収入は区民税の収納率を1%アップさせればカバーできる金額」、また「国の出方を見てから検討する」「新税を検討する前に行財政改革を進めるべき」とのコメントを寄せています。新宿区としては一応慎重な姿勢をとっているようですが、本心はどうなのか。また、慎重な姿勢をとった理由は何なのか。 以上、新税に関して区長の御見解をお伺いいたします。 質問の第3は、環境問題についてお伺いいたします。 21世紀は環境の世紀とも言われ、物の豊かさを追い求めた大量生産、大量消費、大量廃棄の浪費型社会は深刻な環境破壊を招き、地球再生の取り組みが急がれており、社会のすべての仕組みを浪費型から循環型へ転換する国民レベルでの決意と実践が求められています。新宿区も地球環境への負荷を少なくするための環境施策の展開が、これまでになく重要な課題となっていることはいうまでもありません。 そこで、第1の質問はISO14001の認証取得後の取り組みについてであります。 質問に先立って、認証取得に全庁挙げて取り組まれたことに、まずもって深く敬意を表したいと思います。ともかく、認証取得もさることながら、今後そのレベルをどう維持していくかが大事であり、さらには区の関係施設に広げていくことも重要であります。認証取得の際に指摘された問題への取り組み、さらには拡大へのスケジュールについて御説明いただきたい。 第2の質問は、東京都の環境確保条例と区の対応についてであります。 以下、4点についてお伺いいたします。 1、その新条例の特徴は何か。また何が大きくかわったと認識されているのか。 2、この条例施行に伴い、今後区の環境施策の展開にどのような影響が考えられるのか。 3、新条例では具体的にどのような業務が移管され、また円滑な移管のためにどのように対応されるのか。 4、移管業務への財政的措置はどうなっているのか。 質問は以上ですが、今後の環境行政のあり方として都と同様の認識を持ち、都と緊密な連携のもと都市型公害の解消に全力で取り組まれることを期待いたします。 第3の質問は、新宿区ダイオキシン類の発生抑制に関する条例についてであります。 仄聞するところによりますと、都の条例改正を受けて区条例の存廃について検討中とのことのようですが、これまで区条例の先駆的な役割や成果などを考えますと、区の環境特性に応じたきめ細かい条例へと深化させるべきと考えます。 以上、3点について区長の御見解をお伺いいたします。 質問の第4は、在宅での子育て支援についてであります。 さて、子供が笑顔で日々成長していく喜びは何ものにもかえがたく、親となった者の味わえる特権であると思います。親の愛情と適切な保育によって子供はすくすくと育ち、親もまた子育てを通じて成長していきます。しかし、少子化の時代を背景に、子供を取り巻く環境はますます混迷を深めているように思われます。こうした社会状況の中で、子育てと仕事を両立させたい人にはさまざまな働き方に応じた保育サービスを充実させていく必要があります。現在、区が進めている保育園の民間委託、民営化は、財政負担を避けながら民間の柔軟なノウハウを活用して多様な保育需要にこたえようとするもので、保護者の理解を得ながら、さらに進めていただきたいと考えます。 一方で、自ら子育てを行いたいと願う親も少なくありません。一見理想の子育て状態と思える専業主婦に、密室の中で育て方を相談する相手もなく虐待に走るケースが目立っております。閉ざされた家庭内での子育てには、情報不足による不安感や負担が大きいことが想像できます。区ではこうした状況に対応して、中落合児童館に併設して子ども家庭支援センターを設置し、区民に大変好評です。今後とも家庭での子育てについては、閉塞感、負担感を緩和して、喜んで子どもを育む環境づくりを積極的に行っていくことが重要であると考えま す。 それでは、具体的な質問に入ります。3点についてお伺いいたします。 1点目は、子ども家庭支援センターについてお伺いいたします。 同センターは家庭での子育てを選択する保護者にとって大変頼りがいのある施設です。開設して約1年が経過しましたが、事業の実績を踏まえて、どのように評価されているのかをお尋ねいたします。 また、同センターは落合地区にあり、他地域の方にとっては利用しにくい立地条件下にあります。他の地域にも設置してほしいと思いますが、いかがでしょうか。設置にあたっては、例えば拠点としては学校等の空き教室の転用も考えられます。そして、人材としては育児ボランティアの養成講座を開設するなどの工夫をして、民間の人材登用も視野に入れた計画も考えられるかと思いますが、区長のお考えはいかがでしょうか。 さらに、昨年の10月から都の児童福祉審議会のファミリーソーシャルワークモデル事業が都内2カ所のうちの1カ所として、同センターを中心に展開されていますが、現在の状況についてお尋ねします。このモデル事業は本年3月までとなっておりますが、引き続きこの事業をきっかけとして、子供と家庭に関する機関のネットワークを定着させる施策を考えるべきであると思いますが、あわせて区長の御所見をお伺いいたします。 2点目は、ファミリー・サポート・センター事業の推進についてお伺いいたします。 育児等の援助を受けたい人と援助をしたい人が会員となって、有償とはいえ相互に助け合うというボランティア的な会員組織として、旧来の親類縁者、血縁関係中心のサポート力を現代的にアレンジした注目すべき共助のシステムであると考えます。この2月20日時点で利用会員 329人、提供会員 107人という状況であります。事業の重要性から見ても、さらなる提供会員の増加を促す努力が主催者として必要ではないでしょうか。広報宣伝の拡大も含め、今後の事業への取り組みについて区長の御所見をお伺いいたします。 3点目ですが、最後に1つ提案をいたします。 こうしたさまざまな子育て支援策、保育情報が周知されていないことが心配されます。私の周りの若いお母さん方の中にも知らない方が多くいらっしゃいます。例えば子供を預けたい場合の保育所情報、育児相談や親子で集えるところの情報、発育や健康についての相談、急に病気になったときの対応、医療費助成等の情報を案内した「子ども便利帳」のようなものを発行し、妊娠した方に母子手帳とともに配布することも支援策として重要であると考えますが、区長の御所見をお伺いいたします。 質問の第5は、休日の健康診断の実施についてであります。 この問題についてはこれまでも何度か取り上げてまいりましたが、健康に対する関心の高まりもあって私どもへも要望が多く寄せられていることから、改めて質問いたします。 確かに自分の体の健康は自分で守るのが鉄則です。しかし、自分の健康度をチェックする機会を時間的にも経済的にも持てない人びともいるわけです。それをフォローするのも行政の役割であろうと考えます。新宿区基本計画「健康でおもいやりのあるまち」の中で、「区も、区民が身近なところで主体的な健康づくりが行えるよう健康づくりへのアドバイスや情報提供など環境の整備を図るとともに、区民の自主的な健康づくりをきめ細かく支援していくことが必要です」と述べられており、また昨年の厚生白書の「21世紀における国民の健康づくり」では、基本的な考え方の1つに一次予防の重視と高度な生活の質の維持がうたわれています。これらのことから考えますと、健康づくりには不可欠な健康チェック事業が極めて重要な事業であることは論を待ちません。 これまで区でも一般区民を対象にさまざまな健診事業を実施していることは承知しております。しかし、そのほとんどが平日で、休日しか体があかない商店の人や零細商工業者は受けたくても受けられないのが実情です。財政的な問題を考慮しないわけではありません。要望が多く寄せられていることでもあり、周知徹底を図れば需要は十分あります。したがって、すべての休日ではなく、登録制、予約制で年2回程度実施してはどうでしょうか。 また健康フェアなどの形式で健診及び相談の催しを行い、区民に病気予防を呼びかけるといった方法も考えられます。いずれにしても「健康でおもいやりのあるまち新宿」の特色ある事業として、区長の英断を期待し、御所見をお伺いいたします。 質問の第6は、国立医療センター内の、我が国で2番目となる特定感染症病室を含む病棟建設問題についてであります。 平成11年4月にこれまでの伝染病予防法等が改正され、感染症新法が施行されたのを受けて、国が医療体制や病棟の整備計画を立て、その一環として、今回問題になっている国立医療センター内に感染症病棟を建設しようということになったと聞き及んでおります。 同建設計画は、医療センター北側の放射線治療棟を解体して地下1階、地上4階の病棟を平成14年8月に完成させようというもので、問題は2階の4室4床で、1類感染症と2類感染症及び新感染症の感染者を収容しようというものです。感染症新法では、感染力や重篤性に応じて1類から4類の4段階に分類されています。つまり、今回収容しようとする感染症患者は1類と2類及び新感染症という感染力が高いもので、特に1類感染症では、感染したら現在では決定的な治療法もなく死亡率が極めて高いと恐れられているエボラ出血熱等が含まれています。それだけに、周辺住民は大きな不安や恐怖を募らせて建設中止を求めています。 そこで、まずお伺いいたしますが、新宿区はこの建設計画について国や医療センター側から事前に説明を受けたのか、受けたとしたらそれはいつか。ないとしたら区は説明を求めたのか、また説明を受けた後、区はどのような対応をしたのかについて御説明いただきたい。 現在、隣接する国立感染症研究所建設の際、住民との話し合いとの中で、病院関係者から「今後、P4レベルは扱わない」という説明を受けているということであります。これがそうだとしたら極めて重大な問題であり、住民、ひいては区への背信行為であり、看過できないことであります。区は研究所建設の際、同様の説明を受けなかったのか、また扱わないということを確認しなかったのでしょうか。ともかく区民の生命、健康を守るというのが区長の最大の責任であり、責務であるということは言うまでもありません。したがって、国の施設だから、一部地域住民の問題だから、さらには建設許可は東京都の管轄だからといったような消極的で傍観者的な態度は断じて許されるものではありません。 医療センター周辺は、区長も御存じのように戸山ハイツを初め住宅が密集している地域です。国の施設といえどもこの点を最大限に考慮すべきであると考えます。国の施設だからやむを得ないではなく、区民の生活、生命・健康を守る最高責任者として毅然たる態度を示し、住民の不安解消のために区として徹底した安全性確保を訴えるとともに、センター側に住民の納得いく説明を要請する一方、東京都にも建築確認許可の一時保留を求めていくべきだと考えます。これぞまさしく区政を預かる区長のとるべき態度であると信じてやみません。区長の御所見をお伺いいたします。 最後に、教育委員会に質問いたします。 私の質問の冒頭でも触れましたが、先月、JR新大久保駅で起きた痛ましい死亡事故で、このときの2人の勇気ある行動に対して国民の間から惜しみない称賛の声が上がりました。亡くなられた方には衷心より哀悼の意を表したいと思いますが、殺伐とした世相の中にあって、今の人間が忘れかけていた、他者を慈しむ温かい情愛を呼び起こしてくれる行動であったと私は強く感じました。もちろん命を落とすことは奨励できませんが、他者の立場に立った思いやり、痛み、苦しみを共有する心は人間として失ってはならない重要な点であります。お2人の生い立ち、家庭環境をうかがい知って、改めて教育の重要性を痛感させられました。教育長はこの出来事をどのように受けとめられたのか、率直な感想をお聞かせいただきたい。 それでは、4点について具体的に質問いたします。 その1、地方分権、教育改革の流れの中で、各自治体の教育委員会がさまざまな教育施策や環境整備に積極的に取り組んでいます。小・中学校の選択制導入、余裕教室の有効利用、校庭の平日開放、さらには授業における地域との交流など頻繁にマスコミ等で紹介されています。それを見るにつけ、私は寂しい思いと同時に歯がゆさや怒りすら覚えます。上から言われたとおり、既定路線どおりも結構だが、時代を見据えた先進的な施策を展開する意欲、勇気に欠けているのではと指摘せざるを得ません。 区民ニーズ、教育環境や財政状況もさほど変わらない、さらに法的にも問題はない、職員の能力も引けをとらない、それなのになぜ新宿だけできないのか、疑問に思うのは私だけではないと思います。やはり長の教育にかける情熱、責任感、リーダーシップによるところが大きいのではないでしょうか。その意味で、新教育長に期待するところ大であります。21世紀の初頭でもありますので、山崎教育長に、新しい世紀を迎えて新宿区の教育についてどのように考え、どのように取り組もうとされているのか、その意気込みと決意をまずお伺いいたします。 その2は、ゆとりある教育と今後の教育環境についてであります。 平成14年度から新指導要領によるカリキュラムの改訂、学校5日制の開始、さらには少子化による平成17年ごろからの高校、大学の無競争、全入学など、ゆとりある教育は今までに経験したことのない教育環境へと変わっていくことが予想されます。子どもの生活にゆとりがふえることは歓迎することでありますけれども、学ぶことへの意欲が少しでもそがれるようなことがあってはならないと考えます。これらの制度的な規制緩和が何のためのゆとりであり、何のための「自由化」なのかを十分に検討することが重要であります。今後の教育環境の変化について教育委員会はどのような認識の上に立って、今後新宿区の教育行政を進めていこうとされているのか、御所見をお聞かせください。 次いで、関連する具体的な問題についてお尋ねします。 1、カリキュラムが改訂されると、今後の授業にどのような影響が出ると考えているのか。 また教員側の対応はどうあるべきなのか。 2、学校完全週5日制導入を1年後に控え、導入の教育的効果が出るような十分な検討がなされているのか、また親や児童・生徒への理解をどう深めていこうとしているのか。 3、ゆとりある教育による基礎学力低下、学力格差の拡大という懸念についてどのように考えるか。 以上、3点について教育委員会の御見解をお伺いいたします。 その3は、新しい教育行政への取り組みと体制整備についてであります。 これからの変化に対応する行政展開では、学校教育と社会教育の融合、機能的な政策立案体制、区長部局との調整機能といった問題が従来より極めて重要になると予想されます。これからの教育改革の目標は、これまでの社会のための教育づくりを改め、教育のための社会づくりを目指すべきであり、そのためにも教育の独立性は堅持しつつも縦割りを廃して、新宿区全体で取り組むべきと考えます。その意味から、教育委員会の中に政策立案と調整機能をあわせ持つ強力なポジションを設置すべきと思いますが、いかがでしょうか。 その4は、読書運動についてお尋ねいたします。 私どもは一昨年、昨年の代表質問で、現在の子供たちの生き方、また感性を養う力として読書運動の推進を訴えてきました。ここで読書の効用について改めて申し上げませんが、本離れ、活字離れというのは、大げさに聞こえるかもしれませんが、日本の文化の衰退にもつながると私は強い危機感を持つものであります。先ごろ、文部科学省は21世紀教育新生プランの中に「子どもゆめ基金」を創設し、さまざまな読書運動を支援する事業助成を行うと発表しています。読書の重要性については教育委員会としても十分認識されていると思いますが、これまでの御答弁を拝聴しても、自主性を尊重するという、言うならば他人任せ、成り行き任せのお答えで、いま一つ積極性が残念ながら感じられません。本来ならば、むしろ読書の重要性からかんがみ、新宿区の教育の柱の1つにすべき問題であると考えます。 そこで、重ねて提案しますが、教育委員会の中に読書運動を推進する部会を立ち上げ、本格的に取り組んではどうでしょうか。そうした真剣な姿勢が教育現場を変えていくことになると考えます。現場の主体性も大事ですが、教育委員会が重要と考えていても現場がまちまちな対応では真の教育効果が上がるわけがありません。読書は子供の主体性に任せるべき、自由にさせるべきと言われるかもしれませんが、その重要性への理解や善し悪しの選択能力がない子供たちにとっては、かえって不自由さを強要されることになり、そうした考えは極めて無責任な態度であると言わざるを得ません。やはり読書への環境づくりをすることは大人の責任であり、教育に携わる者の使命ではないでしょうか。 確かに教育改革の流れの中でなすべき課題が山積していることは理解できますが、子供にとって今必要なことは心の滋養であり、それを進める最大の環境は読書であると私どもは考えます。子供のための教育改革は大げさなことではなく、身近なところから、子供の目線に立った施策をどこまで地道に取り組むかであります。その意味から、私どもは教育委員会がリーダーシップを発揮し、学校、PTA、地域が連携した地道な運動を展開することが重要であるとの考えから、毎回申し上げてきたわけであります。新しい教育長のすぐれた見識を信じ、その英断を期待いたします。 教育委員会への質問は以上で終わります。 これで代表質問は終わります。長時間御清聴ありがとうございました。(拍手) ◎区長(小野田隆) 山添議員の代表質問にお答えをいたします。 まず、21世紀の望ましい新宿像についてのお尋ねでございますが、新年名刺交換会でも若干申し上げましたように、21世紀の新宿は、首都東京の中心として活力にあふれた商業活動を展開するとともに、一方では都心有数の住宅都市として、親しみやすさと潤いに満ちた都市であり続けたいという思いがございます。そして、区民の皆様が各人それぞれの個性を大いに発揮して、はつらつとした人生を送ることができること、これが私の描く新世紀の新宿像であります。しかしながら、今日の社会経済の現実は、こうした夢を描くことすらはかない望みとなるような厳しさでございます。私はせめて区政の及ぶ限りの局面において、区民の皆様とともに新世紀の新宿区づくりに汗を流したいと心から念じております。そのためにも財政基盤の強化とともに行財政運営能力の質的な改革を実現し、区民の総意に基づく区民のための区政の充実、強化に邁進をする決意でございます。 次に、地方分権の潮流を踏まえた大いなる可能性をどのように具体化するのかというお尋ねについてでございます。地方分権の意義を一言で申し上げますならば、それぞれの地域の特性を踏まえた特色ある自治行政を展開することにつきるわけであります。この地域の特性を踏まえたという表現は、区民の総意に基づいた区政という言葉と、まさに表裏一体の関係を持っております。複雑多様化した区民の皆様の意見をどのような形で区政に反映させていくか、このことは現下の各地方自治体の抱える最も重い課題の1つでございます。 このためにも、区政は区民生活の安定と向上を図る見地から、解決すべき課題を明らかにするとともに、その解決に向けた方向性や打開の手順などの選択肢を区民の皆様の前に提示していかなくてはなりません。時代とともに変化する区民生活を支える区政は、そのあり方も時代とともに変化しなくてはならないのであります。 こうした行財政運営における質的改革を進めるために、基本方針では、第1にIT革命の成果を区政に取り入れていくこと、第2に職員の人事制度を能力、業績をより重視する方向に見直していくこと、第3に行政評価制度を実施し、区の担うべき仕事の領域、やり方など事業のあり方を見直すとともに、区民へ議論の素材を提供していくこと、第4に区と民間との役割分担を見直し、積極的に民間委託等を実施していくこと、第5にボランティアやNPOなど区民や団体と区とが協働していくこと、以上のような5つの課題をお示ししたわけでございまして、これらの課題の着実な解決が、すなわち大いなる可能性に挑戦することの具体的行動であると理解しているものでございます。打てば響く区政を目指して、2年間、最大限の努力を傾注する決意でございます。よろしくお願いいたします。 次に、これまでの行財政改革の実施におきまして、区政への理解と協力を惜しまなかった区民の皆様に対する感謝の念についてのお尋ねでございます。御指摘にもございますように、今日、一時的にせよ財政状況が小康を得ておりますのは、区民の皆様の御協力によって実施できた行財政改革の結果によるものであることは明白な事実でございます。その意味では、区民並びに区議会の皆様の御協力に幾重にもお礼を申し上げ、また感謝申し上げても、し過ぎるということはないと衷心から思う次第でございます。これまでの区民の皆様の御理解、御協力を無にしないためにも、私はより一層区政改革に取り組み、区政の大いなる可能性への挑戦を続けてまいる決意でございます。 次に、財政非常事態と今後の財政運営についてのお尋ねでございます。 まず、財政非常事態の見通しでございますが、平成7年10月の財政非常事態宣言以来、区財政の健全化に向けた取り組みを進めてまいりました。この間、景気低迷などの影響を受けた区財政の危機的状況を克服するため、区民の皆様の御理解と御協力をいただきながら抜本的な事務事業の見直しなどを行い、区財政健全化への歩みを着実に進めることができているものと理解をしております。しかしながら、現下の経済状況などを考えますと、景気の先行きなど依然として不透明な状況でございます。したがいまして、今後とも引き続き区財政健全化をなし遂げるため、行財政の構造改革に取り組む決意でございます。 お尋ねの財政非常事態宣言の解除につきましては、その取り組みの中で十分見極めてまいりたいと考えている次第でございます。 次に、特別区債残高の削減問題についてのお尋ねでございます。特別区債残高につきましてはここ数年、償還が進んだことや投資的経費などの抑制に努めたことによりまして、平成13年度末には3年連続で前年度末残高を下回る見込みではございますが、区財政にとりまして元利償還に要する公債費の負担は大きなものとなっております。そのうち減税補てん債等につきましては、その償還経費の一部が都区財政調整交付金で算定をされておりますのは御指摘のとおりでございまして、これらを含め減債基金の活用などにより一般財源の負担を平準化するよう努めているところでございます。 また、普通債の償還にあたって固定資産の売却益を充てるべきとのお尋ねでございますが、区有財産の売却、貸付等につきましては、財政への寄与といった観点から積極的に推進をしてまいりたいと考えております。特に、御指摘にもございます区有施設の適正配置などにあたりましては、老朽化しております施設の更新需要など、今後の財政負担への対応などとあわせて検討してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、区債の償還なども含めまして、財政運営にあたりましては中長期的視点からの計画的な対応が肝要なことと考えている次第でございます。今後とも十分留意してまいります。またバランスシートの作成につきましても、御指摘の点を踏まえながら、引き続き研究してまいりたいと考えております。 次に、増収対策のこれまでの成果と平成13年度の増収目標についてのお尋ねでございますが、まず全庁的な増収対策の成果については、昨年12月から10特別出張所を拠点に実施してきたところでございますが、1月末現在で実績は、当初設定いたしました1億円をほぼ達成したところでございます。したがいまして、増収対策が終了する2月末までには目標額は確実に超えるものと思われます。 また、御指摘のとおり、昨年第2次実施計画に伴う対策でお示しをした区税増収の目標額は、平成13年度は2億 5,000万円でしたが、平成13年度の予算編成を検討する中で、未申告者への申告勧奨等の強化により現年課税分の増収を図るという対策も加え、平成13年度の増収目標額を3億 4,000万円としたところです。 次に、職員の増員配置についてでございますが、これにより高額困難ケースを中心とした滞納繰越分の整理強化を主な任務とする特別対策班を税務課内に設置し、収納率向上対策を強化していくもので、臨時的な制度として当面3年程度を予定しているところでございます。 次に、法定外新税についてのお尋ねでございますが、法定外新税の検討につきましては法定外新税研究会の中間報告以降、4回の研究会を開催し、現在、最終報告に向け準備中ですが、中間報告でお示しをした5つの課題につきましては一つ一つ詳細に検討してきたところでございます。 まず、環境税関係につきましては広告税関係を含めて1つの課題として検討を行ったところですが、成案となる候補を見出せず、引き続き検討を行っているところでございます。また、通勤者税関係及び風俗税関係については問題点が多く、成案とするには困難であるとの結論を研究会として出す予定でございます。 また、日本中央競馬会の場外馬券売場の売り上げに課税する新税案につきましては、本区も研究課題の1つとして検討してきたところですが、昨年12月に条例化した横浜市が現在、国と協議中であり、国の非常に厳しい判断が予想されますので、慎重な姿勢にならざるを得ず、今後国の動向を見守りつつ、慎重に検討を加えてまいります。したがいまして、最終報告も3月末以降を予定しているところでございます。 次に、環境問題につきまして、ISO認証取得後の取り組みについてのお尋ねでございますが、指摘事項は、各課で作成した環境改善のプログラムにおきまして、実施すべき環境保全項目が抜けている等でございました。直ちに環境管理委員会で対応し、是正したところでございます。今後の重要課題は設定した目標値の達成にありますので、職員意識の一層の向上に努めながら必要な見直しを適宜行い、システムの運用を軌道に乗せてまいります。 なお、拡大につきましては、平成14年度に清掃部門をシステムの適用範囲に入れていく予定でございます。 2点目の、東京都環境確保条例についてでございますが、昨年の12月に制定された当条例は、従来の公害防止条例が改正されたものであります。特徴といたしましては自動車排出ガスや地球温暖化の対策など新たな環境問題への対応が盛り込まれ、都民の健康と安全な環境の確保を主眼としております。 区の環境施策への影響につきましては、従来の公害規制から一歩踏み出して、地球環境保全に資する施策の展開が求められることとなります。移管される業務につきましては、新たに有害化学物質対策や土壌汚染対策などが上げられます。また、円滑な移管に向けて都区間で分権推進事務連絡会議を設け、検討しているところでございます。財政的措置につきましても、円滑な移管のための条件として都に対して強く要望しているところでございます。 3点目の新宿区ダイオキシン条例についてでございますが、ダイオキシン類対策特別措置法や都の環境確保条例及び区の環境特性等を十分吟味しながら、区の条例としての意義を検討する中で対応してまいります。 次に、家庭での子育てについてのお尋ねでございますが、まず子ども家庭支援センターについてお答えをいたします。 この施設は昨年2月に、いつでもだれでも身近なところでどのようなことでも相談でき、適切な援助やサービスを利用できる総合的な相談体制を整え、子供や家庭の抱える不安や問題に地域で早期に対応し、解決することを目的に設置いたしました。子供と家庭の総合相談を実施し、また親と子の居場所づくり、仲間づくりを行い、家庭で子育てをしている方々の利用をいただいております。 相談事業といたしましては、専門の子ども家庭支援ワーカーを置き、今問題になっている虐待等の相談を含み、今年度1月末現在、 387件の相談を受けております。相談事業の中で他機関を紹介することもしておりますが、ショートステイ事業につきましては55件のサービス調整も実施しております。また施設の延べ利用人数といたしまして、1月末現在でセンターの延べ利用人数1万 3,398人、1日平均66人と好評です。このように、子ども家庭支援センターは所期の目的を十分に達しているものと考えておりますが、今後とも子育て支援の核として、その役割を十分に発揮していきたいと存じます。 次に、立地条件についてでございますが、落合地区に所在するため、利用実態を見ますと落合地区以外の方々の直接利用という面からは不便な面がございます。新宿区といたしましては子育て支援の核となるセンターが必要であるとの考えにより1カ所設置いたしましたが、昨年立ち上げたばかりでもあり、他地区にさらに子ども家庭支援センターを設置するということにつきましては、今後の課題とさせていただきます。 なお、具体的な例を挙げての御提案でございますが、子ども家庭支援センターの機能のうち乳幼児連れの親子が日中安心して過ごせる場所の確保につきましては、児童館の幼児サークルや児童館の子育てひろば事業を充実させていく中で実現していきたいと思います。また、今後可能ならばボランティアの活用も検討してまいりたいと存じております。 次に、ファミリーソーシャルワークモデル事業についての御質問にお答えをいたします。 この事業は東京都のファミリーソーシャルワークモデル事業として平成12年10月から平成13年3月までの間、実施しているものでございます。ここにおいては問題を内包する家庭の崩壊の予防及び問題が顕在化した家庭の健全化を図るために、関係機関が連携して支援をしていくのにはどのようにしていったらよいかを具体的に検証しております。現在、1つのケースについて、それぞれ子育てに関連する区内各機関が参加して検討を加えるなど、この事業を通じて都や区の各機関の連携もできつつあります。このようなモデル事業の成果をもとに、子供と家庭に関するネットワークを定着させたいと考えており、検討会は継続していきたいと存じます。 次に、ファミリーサポートセンター事業についてお答えをいたします。 ファミリーサポートセンター事業は、仰せのように現代的にアレンジした子育てに関する共助のシステムであり、これからの地域で子育てを支援する方法として大変有用であると存じます。 この事業は平成12年4月に新宿区社会福祉協議会に委託する事業として発足し、7月から事業を開始いたしました。御指摘のように、現在利用会員が 300人を超え、提供会員が 100人を超える人数となっており、当初の計画では 300人という会員を3年間で達成する目標でありましたが、それを1年目で達成し、着実な発展をしております。利用実績におきましても、1月末現在で 745件となっており、子育て支援に関して大きな役割を果たしているものと考えております。今後とも、特に援助することを希望する提供会員の増加を促す努力を継続し、住民の中で定着し、さらに着実な活動をしていけるよう努めてまいりたいと存じます。 次に、「子ども便利帳」の御提案についてでございますが、このような情報を確実に提供することは大変大切なことであると存じます。現在、新宿区では母子手帳を発行する際、御要望の保育所情報や育児相談、親子で集える場の情報、医療費助成等の各種情報を網羅した「おかあさんと赤ちゃんへ」という冊子を用意し、一緒にお渡しをしております。今後、さらに子育て支援情報につきまして、インターネットのホームページを通じた情報提供や個別の子育て支援に関する情報提供につきましても充実をしてまいりたいと存じます。 次に、休日における健康診査の実施についての御質問でございますが、健康づくりを推進していく上で、疾病の発生そのものを予防する一次予防が重視をされるとともに、二次予防としての健康診査も同様に大切であると認識をしており、従前から保健センター、区民健康センター及び最寄りの医療機関におきまして、年齢層に応じた健診事業を行っているところでございます。 御提案の休日における健康診査でございますが、財政上の問題等を含め、今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。 なお、現行の健診事業につきましても、区民の方々により一層の御理解をいただくため、さらに周知に努めてまいりたいと存じます。 次に、国立国際医療センター内の特定感染症病室を含む病棟建設問題についてのお尋ねでございますが、まず建設計画について事前に説明を受けたかどうかですが、新宿区はこの建設について国や国立国際医療センターから事前に説明を受けてはおりません。本年1月上旬に住民説明会があったとの情報を得ましたので、直ちに建設計画についてセンター側に説明を求めました。その際、今後とも安全対策などについて住民に対し十分な説明がなされるよう要請したところでございます。 次に、国立感染症研究所建設の際に住民との話し合いの中で、病院関係者から「今後、P4レベルは扱わない」という説明を受けていたが、区は同様の説明を受けていたのかということでございますが、区はそのような説明は受けておらず、病院と住民の話し合いの内容については関知しておりません。 最後に、区の対応についてのお尋ねでございますが、今回建設が予定されている病棟は、既存の一般病棟の耐震工事を推進することを目的としたものであり、その一部に新たに感染症病棟を併設するものであるという説明を受けております。区といたしましては併設される感染症病棟の安全確保に万全を期するよう訴えるとともに、住民の不安解消のために十分な情報提供を行うよう、引き続き要請してまいります。今後とも説明会等の推移を注意深く見守りながら、適切な対応に努めてまいります。 以上で私の答弁を終わらせていただきます。 ◎教育長(山崎輝雄) それでは、教育委員会から質問にお答えいたします。 JR新大久保駅で発生した死亡事故につきましては、亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、勇気あるお2人の行動に対しまして心から敬意を表したいと思います。 御指摘のように、自らの身の危険をも顧みず人の命を救おうとした行動は、結果としては残念なことになりましたが、人間として大切なことを身をもって私たちに教えてくれたような気がいたします。私たちはこのお2人のように温かい人間愛の精神や他の人びとに対する思いやりの心を持ち続けていきたいと思います。一人一人の人間がこのような精神や心を身につけるためには、家庭教育や学校教育の果たすべき役割が極めて大きいと考えます。今後も人間愛に満ちた心温かい人間の育成を目指しながら、新宿区における教育の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。 次に、新宿区の教育についてでございますが、教育委員会におきましては、これまでさまざまな教育施策や環境整備に着実に取り組んできたところでございます。お尋ねの小中学校の選択制の導入については、通学区域の弾力的運用で対応しておりますが、今後は保護者の意向等を伺う中で、新宿区の特性を踏まえ検討してまいります。 余裕教室の有効利用につきましては、学年単位で利用できるランチルーム等の設置や地域に開放できる会議室の整備など、学校での有効利用を図るとともに、初めての例として東戸山小学校の余裕教室の福祉転用も実現したところでございます。 校庭の平日開放につきましては、これまでも議会での御意見を賜ってまいりましたが、現在、校庭を公園のような位置づけで開放できるよう学校と教育委員会で基準づくりをしているところでございます。新年度から地域の状況を踏まえながら取り組んでまいりたいと考えております。 また、地域との交流につきましては、総合的な学習の時間の中で伝統芸能や職場体験などに取り組んでおります。 いずれにいたしましても、地方分権、教育改革の流れの中で、新宿区の教育行政の方向性を明確にしていくことが求められていると受けとめております。したがいまして、今後の教育行政への取り組みにあたりましては、地域に開かれた学校運営を目指し、説明責任を十分に果たしながら、地域住民と一体となった新宿区立という名にふさわしい学校教育を実現してまいりたいと考えております。さらに、学校の適正配置の推進や特色ある学校運営、基礎学力の向上など教育環境の基盤整備に努めてまいる所存です。時代の要請と区民の期待にこたえられるよう、熱意と活力を持って全力で取り組んでまいりたいと思っておりますので、皆様の御理解と御協力をよろしくお願いいたします。 教育環境の変化について、今後新宿区の教育行政をどのように進めていくかとのお尋ねでございますが、21世紀を迎え、新学習指導要領の本格実施、完全学校週5日制の実施など教育環境は大きく変化してまいります。これからの学校教育においては、これら変化の意義とねらいを正しく理解し、ゆとりある教育の中で子供たちに基礎、基本の着実な定着を図り、豊かな人間性を育み、自ら学び考えるなどの生涯にわたり学び続けることのできる資質を育成する必要があると認識しております。教育委員会といたしましては、これらの課題に十分取り組んでいけるよう学校を支援してまいる所存でございます。 平成14年度からのカリキュラムの改訂に伴う授業への影響と教師の対応についてのお尋ねでございます。 今回の改訂では学校教育において教育内容を一層厳選し、時間的にも精神的にもゆとりある教育活動を展開する中で、児童・生徒が基礎、基本をじっくり学習できるようになります。また体験的な学習や問題解決的な学習を積極的に取り入れ、児童・生徒が主体的に課題を発見し、追求し、解決していくことができるような授業を展開していくことになります。したがって、教師は校内研修会や区の教育研究会等さまざまな研修の機会を通して改訂の趣旨を十分理解するとともに、指導内容や指導方法、指導体制のあり方を工夫、改善することが大切であります。 第2点目の、完全学校週5日制導入にあたっての御質問でございますが、これまでの中央教育審議会の答申においても、今後の教育のあり方として「ゆとりの中で子供たちに生きる力を育んでいくことが基本である」としております。また完全学校週5日制は自分の頭で考え、自立できる人間をどう育てるかという課題の中で出てきた問題であると認識しております。こうした考え方の中で、学校、PTA、地域、関係行政機関で構成する学校週5日制推進協議会を設置し、休日となる土曜日における地域や家庭での体験の機会等の必要性について検討を進めてきたところです。この中で、学校の役割、地域の役割、家庭の役割等を総合的に議論し、協議会として地域や家庭に向けた提言をまとめてまいりたいと考えております。 次に、ゆとりある教育による基礎学力低下、学力格差の拡大という懸念についてのお尋ねでございます。 基礎学力の低下や学力格差が生じる原因は、基礎的、基本的な学習内容の理解が不十分なまま、たくさんの学習内容を限られた時間内に学習しなければならないことであると指摘されております。完全学校週5日制の実施に伴い授業時間数が削減されますが、新学習指導要領により学習内容を厳選し、基礎的、基本的な内容に絞ることが行われます。共通に学ぶ知識の量は減りますが、ゆとりを持って繰り返し学ぶことで基礎、基本の確実な定着を図ることができます。このような教育の推進により、自分で学ぼうとする意欲や学び方をしっかり身につけることを通して、学力の低下や学力格差の拡大を防ぐことができると考えております。 新しい時代にあった教育を進めるためには、事務局の組織を強化して対応していくべきとのお尋ねでございます。 地方分権社会にあって、新たな視点に立った独自性のある新宿区の教育システムの構築は必要であると認識いたしております。このため、新しい時代にふさわしい教育への取り組みを推進するため、平成13年度に、開かれた学校づくりと教育環境の整備を積極的に検討、推進していくための横断的な組織を設置していきたいと考えております。また、教育は学校や家庭だけではなく社会全体で取り組んでいくべきものと考えており、地域の教育力を今後とも積極的に活用し、連携して教育の改革に取り組んでまいりたいと考えております。 続きまして、御指摘のように読書は豊かな感性や自ら学ぶ意欲、探求心を育むために、欠かすことのできない教育活動の1つであります。区内各学校におきましては「朝の読書運動」「図書館におけるボランティアの活用」等それぞれ学校の実態に応じた読書運動が展開されております。また、教育委員会といたしましては児童・生徒の読書活動の活性化を図るため、学校図書館活用に向けての具体的な手だてや授業例を示した指導資料を作成し、区内全教職員への啓発活動を行う準備を進めております。 さらに、平成15年度から読書指導の質的向上を図るために導入される学校図書館司書教諭の配置とあわせて、学校、地域、保護者、公立図書館が連携し、子供の読書環境の整備を強化してまいりたいと考えております。 読書は生きる力を育む有為な方策の1つであり、子供の期待にこたえる読書指導や学校図書館のあり方について、今後とも十分な取り組みをしてまいりたいと考えております。 以上で教育委員会としての答弁を終わらせていただきます。 ◆16番(山添巖) 自席から発言をさせていただきます。 丁寧な御答弁ありがとうございました。さらに詳細については、設置が予定されております予算特別委員会でお伺いをしてまいりたいと思います。 ともかく、新世紀を迎えて発展に向けた変化を区民は求めております。そういう意味で、改革への意欲を強く持たれまして行政運営をされるよう、強く要請をいたしまして質問を終わります。(拍手) ○議長(小沢弘太郎) ここで、議事進行の都合により、15分間休憩します。 △休憩 午後5時06分 ------------------------------------- △再開 午後5時27分
    ○議長(小沢弘太郎) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。 23番小野きみ子さん。   〔23番 小野きみ子さん登壇、拍手〕 ◆23番(小野きみ子) 民主・無所属クラブを代表して、区長と教育委員会に質問いたします。 質問に先立ち、一言発言させていただきます。 日本は恥の文化、日本人の行動規範は恥であるとキリスト教など宗教的倫理を行動規範とする外国人は日本に奇異の目を向けてきました。でも、私は古くからの江戸っ子、東京の人間として「恥の文化、結構じゃないか」と思っています。母親から『名こそ惜しけれ』という価値観を幼いときからたたき込まれてきたせいかもしれません。今、NHKの連続ドラマで北条時宗をやっているので、司馬遼太郎さんが鎌倉武士について書いたものを読んでいたらこういう言葉がありました。「ヨーロッパで成立したキリスト教的な倫理体系にこの一言で対向できます。『名こそ惜しけれ』は世界に通用する行動規範です」と。我が意を得たりの気持ちでした。 でも、残念なことに21世紀の日本には恥の文化ではなく、恥知らずの文化が蔓延しています。米原潜に水産学校の実習船が沈められてもゴルフをやめなかった首相、しかもそのゴルフ場会員権は無償供与で、しかもしかも、かけゴルフだった等々、これだけ恥ずかしいことが重なってもやめないとは、何と恥ずかしいことでしょう。首相だけでなく、永田町にも霞ヶ関にも恥知らずの文化がわき出てきています。ねえ、皆さん、東京都の中心、新宿区で公職についている人間は行政側の皆さんも私たち議員も、せめて『名こそ惜しけれ』を共通の価値観にしようじゃありませんか。   〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕 ありがとうございます。 言いたいことを言わせていただいたところで、質問に入ります。 まず、児童虐待防止対策について伺います。 平成12年11月に児童虐待防止法が施行されました。この10年間で児童相談所への相談件数は 10.56倍になり、ところが職員数は1.15倍にとどまっています。児童虐待防止法施行により学校や医師などに通告義務が生じましたので、児童相談所の仕事はますますふえると予想されます。 そこで質問いたします。 1つ、住民に最も身近な自治体である区として、民間団体等とも連携して独自の児童虐待防止施策を拡充していく必要があると思うのですが、区長はいかがお考えですか。 2つ、児童虐待防止法はゼロ歳から18歳までの子供が対象です。学校や児童に関係のある職員には虐待の早期発見努力義務が課せられています。新宿区では福祉部児童家庭課、生活福祉課、保育課、管理課、衛生部の保健計画課、教育委員会の庶務課に伺ったところ、児童虐待発見の研修をしているところ、していないところと分かれてはいましたが、研修の必要性はよく認識しておられるようで心強く思いました。しかし、研修を受けた人は全体から見ればまだ少数派です。今まで、例えば学校職員が虐待を疑っても、万一違ったら大変と思い、通告をためらうことが多かったと考えられますが、児童虐待防止法では公務員守秘義務違反に問われませんし、間違いだったとしても責任を問われないことになりました。この変化を御存じない方が多いのではないでしょうか。 そこで提案なのですが、同法に関係する職員全員に従来と変化した点をよく知らせていただきたいのです。その範囲は学校職員を始め保育園、幼稚園、学童クラブ、児童館、保健婦、相談窓口等非常に広範囲ですが、周知を図っていただきたいのですが、いかがでしょう。 しかし、一言で研修と言っても、まだノウハウはないと思います。同法には民間機関との連携強化の努力義務があります。例えば練馬区などでは社会福祉法人虐待防止センターが毎年開催する2日間の専門家セミナーに公費で職員を参加させています。新宿区でも同様の方法を考えていただきたいと思いますが、いかがでしょう。 3つ、次に庁内の連携についてですが、縦割り行政の宿命で、新宿区でも子供にかかわる所管は幾つも分かれております。この際、子供をキーワードにした連携の仕組みをつくるべきではないでしょうか。 世田谷区では子供施策推進本部が助役を本部長に、教育長を副本部長に、そしてゼロ歳から18歳までの子供にかかわるすべての部署の部課長と、現場を最もよく知る係長をメンバーにして設置され、子供を取り巻く環境プランづくりが進められています。新宿区でもこういう機関を設けて、全庁的視野に立った施策を展開していただきたいのですが、いかがでしょう。 4つ、東京都の男女平等参画データ2000によると、ストレスをしばしば感じると答えた割合は女性が64.4%、男性が62.8%でした。30歳代の女性では何と87.3%になります。ストレスの原因として男性は仕事や学業、女性は家庭や家庭内の問題を上げていて、育児によるストレスは25から29歳で84.3%、30から34歳で80.4%に達しています。 ここでぜひ注目していただきたい数字があります。平成11年度の全国の児童相談所への相談、1万 1,631件のうち77%が家族以外からの相談や通報だったのに対し、民間の社会福祉法人子供虐待相談センターへの相談は、 4,195件中91%が母親からの相談だったのです。この数字は公立の児童相談所が、まず親子分離を考える施設であるため、親としては相談しにくい施設だということをあらわしています。そこで、東京都では法の施行を受け、子供の虐待防止センターと協定を結んで、連携して役割分担をしていくそうです。 そこで提案です。児童虐待では虐待した親への支援が重要ということが広く知られてきました。児童虐待の加害者の多くは子供のころに虐待を受けていることが最近の調査で明らかになったからです。虐待する親は治療が必要な病気であり、親子を分離するだけでは解決しないということも広く知られてきました。新宿区として、例えば保健所が実施しているアルコール依存症のグループ治療のノウハウを活用して、グループ治療を考えてみてはいかがでしょう。区長のお考えを聞かせください。 次に、子育て支援対策について伺います。 先ほど山添さんから非常に具体的な提案がありました。ちょっと私は別の部分から聞きますので、似ているところもありますが聞いてください。 1、去る2月16日、「子育てに優しい社会をつくろう全国ネットワーク」という集まりが神田でありましたので、傍聴に行ってきました。会場は熱気にあふれていて、発言希望者が続出して、マイクを握ったら離さないで、もう堰を切ったように生々しい体験談やユニークな提案が出て、私はこの問題がいかに切迫した緊急テーマであるか、改めて思い知らされました。この集会のアピールの中に、こういう言葉がありました。「家族を犠牲にして働くのでもなく、家族のために仕事をやめるのでもなく、女も男も家族も仕事も大切にする生き方が当たり前の選択肢となるように」と。まさにこの当たり前という受けとめ方が日本には不足していたのだと思いました。 新宿区ではこのたび夜間保育所の認可に踏み切られました。時代の要請にあった快挙として拍手したいと思います。そして、今後とも働く女性が安心して子供を預けられる施設と人材の確保に前向きに取り組んでいただきたいと思います。保育の充実が進めば、もう1人産みたい、育てたいという声は母親だけでなく父親にも高いのです。区長、よろしくお願いします。 ところで、子育ての悩みは仕事を持つ女性だけではありません。働く女性の子育てについてはまだまだ社会全般の理解度は低く、出産を機に退職する女性も少なくないのです。今まで社会の第一線で活動していた女性が狭い家の中で育児だけに専念するとき、ふと無力感に襲われるのは無理もないことと思います。核家族化が進み、特に転勤の多いサラリーマンの妻は周辺に相談相手を持たない孤立感が加わって、子育てのストレスが増すようです。しかし、子供を預けて働きたい、社会的活動をしたいと思っても、保育所入所の対象はあくまでも現在仕事を持つ人なのです。 そこで、教育長に質問ですが、幼稚園をもっと広く活用できないでしょうか。 新宿区には地域に開かれた幼稚園事業があります。未就学児と母親が一緒に幼稚園に来て遊んだり、先生からアドバイスを受けたりする先進的事業です。これは初めて新宿区に移り住んで、いわゆる公園デビューもままならない若い母親にとって大変心強い事業で評判もよいのですが、1つ注文があります。園舎開放、園庭開放が週に1、2回というのは少なすぎるのではないでしょうか。開放日をふやすとか、回数は同じでも時間を延長するとかできませんか。 そして、孤立している母親にこの事業の存在をもっと知らせてほしいのですが、いかがでしょうか。先ほど区長がおっしゃった「おかあさんと赤ちゃんへのパンフレット」にも掲載していただくというのも、1つの方法ではないかと思って聞いていました。御意見をお聞かせください。 次に、遺伝子組み換え食品と学校等の給食について伺います。 大切な子供の健康にとって最も重要なものは食事です。しかし、今という時代はちょっと注意を怠ると遺伝子組み換え食品が食卓に紛れ込んできます。日本には遺伝子組み換え食品に関する法的規制はありません。普通の食品と同じ扱いで、食品衛生法による規制だけです。世界の流れは遺伝子組み換え食品に表示を行う方向です。そして、表示の先進地ヨーロッパでは、現在その表示がほとんど見られないと帰ってきた人から聞きました。「え、なぜ」と聞きましたら、「遺伝子組み換え食品の事実上の締め出しに成功したからだよ」との答えでした。さすがだなと感心したところです。 一方、日本ではこの表示がおくれて、内容が極めて不十分な農水省の表示制度でさえ、2000年4月告示で2001年4月発効というありさまです。こういう行政側のおくれに対して生産者やメーカーの動きは早く、豆腐や納豆などに「遺伝子組み換え大豆不使用」の表示が広がっています。この表示はみそやしょうゆにも広がっています。価格はどうしても少し高くなりますが、健康に関心を持つ消費者には好評で、よく売れています。 そこで、教育長に質問いたします。 新宿区の学校給食の食材はどうなっているのでしょう。生鮮野菜などは基本的に国産品で、極力有機栽培のものを使っているそうですが、みそ、しょうゆなど大豆からつくる食品やパンなど小麦を使う食品は輸入食品を使わざるを得ませんよね。どう対応していらっしゃるか教えてください。 そして、今度は区長に伺いますが、保育園の給食についてはどうでしょうか、お聞かせください。 現在、ぎりぎりの予算でよりよい食材をそろえる給食の現場の苦労はよくわかるのですが、安全を第一に考えて、産直購入の手法を取り入れるなどして、さらに国産の食材をふやすよう努力していただきたいのですが、教育長、区長はどうお考えでしょうか、質問いたします。 次に、介護保険対策について伺います。 介護保険はそもそも家族の、とりわけ女性の肩にのしかかっていた高齢者介護という重荷を社会全体で支えようという目的でつくられたはずです。ところが、制度発足直前の平成11年秋、自民党の亀井政調会長が家族介護への慰労金という現金給付を打ち出しました。ようやく介護保険に対する国民の合意が生じかけたところにこの提案でしたから、我が会派では猪爪議員が代表質問でこの件を取り上げ、「再び家族介護に重心を移すような家族慰労金はおかしいのではないか」と質問しました。 そのとき区長は、「全国レベルで考えれば、サービス参入が見込めないため家族介護が大きな比重を占める自治体もあり、こうした特別対策がとられるようになったとの理解も可能です。しかしながら、御指摘のとおり乏しい介護基盤のため家族介護に頼ってきた現状から脱却するため、介護保険制度の導入を選択した当初の経緯からすれば、今回の慰労金支給は本来の趣旨に沿うものとは言いがたい」と言われ、さらに「介護保険サービスの提供によって家族を介護からひとときでも解放し、自分の時間が持てることを第一に目指しています。それこそが長い期間、昼夜を分かたず家族を介護し、心身ともに疲れ果てた介護者への最大の慰労であると確信しているからです」とおっしゃいました。私は「そのとおり」などと相づちを打って聞いていたのですが、結局、新宿区も慰労金支給に踏み切ったのですね。でも、介護保険の趣旨からいけば、現在多くの自治体が実施している介護保険利用料の助成の方が本筋ではないかと思いますが、いかがですか。 ちなみに、東京23区では千代田、中央、港、品川、渋谷、豊島、練馬、江戸川区が独自の助成を実施しています。区長の御見解をお聞かせください。 次に、住民基本台帳法について質問いたします。 平成11年8月に住民基本台帳法の一部が改正され、これに伴い全国民を対象とした住民基本台帳ネットワークシステム、略して「住基ネット」が平成14年8月から一部稼動し、平成15年8月に全部稼働する予定です。この改正の目玉は、全国どこでも住民票の写しがとれるということです。これまで住所、氏名、生年月日などの住基データは居住地の区市町村だけが管理していました。新宿区では住基データの利用にあたって、国や他の機関からの問い合わせばかりでなく行政内部の活用に際しても、個人情報保護条例に基づき慎重に対応してきました。 それでも、昨年、私も委員として参加していた新宿区公文書公開・個人情報保護審議会では、女性委員全員から厳しい注文がつきました。それは、本人以外の第三者による交付や閲覧請求には慎重の上にも慎重に対応してほしいというもので、ストーカーや家庭内暴力の加害者が住民基本台帳制度を不当に利用して、被害者の住民票をとる例が各地で問題になっていたことが背景にありました。4カ月後にはストーカー法が施行されるのがわかっていても、それまで待てないという切迫した提案でした。こういう市民感情からすれば、住基ネットによって個人情報が自動的に国に吸い上げられていくのには釈然としないものがあります。 現在、住民票を管理する自治体は住所、氏名、生年月日、世帯主との続柄、戸籍、国民健康保険と介護保険にかかわる情報、国民年金の種別、児童手当受給の有無の情報を管理していますが、これらの情報が全国センターを経由していくわけです。さらに、国税庁の納税番号が8桁から11桁にかわったことから、将来は住基ネットに納税番号も組み込まれるだろうと不信感を持つ人も多く、住基ネットは国民総背番号制の一里塚という声もあります。我が会派の志田議員も平成12年の第3回定例会で、いち早くこの件を取り上げ、警鐘を鳴らしています。 杉並区の山田区長は、法改正の際に行われた「各自治体は住民に理解してもらう努力をすべし」という国会決議に基づき、2月1日の杉並区広報で住基ネットの仕組みと区長自身の意見を掲載し、アンケートを実施しました。そして、住基ネット整備の経費を平成13年度当初予算案に計上しませんでした。 そこで、区長に質問いたします。 区長は住基ネット整備の経費を今年度予算案に計上されましたが、どういう形で新宿区民に理解してもらう努力をなさったのでしょうか。そして、この住基ネットは国民総背番号制の一里塚にならないという確信をお持ちなのでしょうか、お聞かせください。 最後に、情報公開と住民参加について伺います。 情報公開法が4月からスタートします。既に6年前から行政文書を原則的に公開してきた三重県の北川知事は、2月20日の読売新聞で次のように言っておられます。「情報公開は今まで守秘義務を盾に隠していたことをばらすのだから、初めのうちはとてもつらいが、今度は誰が大変になるか、それは国民であり住民だ。我々は政策の形成過程まで全部公開する。全部出したから参画して共同責任をとってもらう。第三者的に批判するだけの観客民主主義よ、さようならだ」と。 新宿区も情報公開法の制定に伴い情報公開条例を制定することとし、今定例会に提案されましたが、情報を要求されて出すだけでなく、これからは要求がなくても政策形成過程も含めて情報を積極的に出して、住民に一緒に考え、協力してほしいと呼びかけてはどうでしょうか。これこそが行政と住民と対等のパートナーの関係が生まれると思いますが、区長の御見解をお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ◎区長(小野田隆) 小野議員の代表質問にお答えをいたします。 まず、児童虐待防止法対策についてお答えをいたします。 第1点目の、民間団体等とも連携して独自の児童虐待防止策をとの御意見についてでございますが、児童虐待の事件の報道を耳にしない日がないほど虐待がふえており、心を痛めている次第です。区におきましても子ども家庭支援センターを初めとして保育園、保健センターなど子供にかかわる機関が虐待に関する相談を行い、また虐待が疑われる子供と親への支援を東京都の児童相談センターなど専門機関と協力しながら行っております。民間団体等との連携につきましては、御指摘の趣旨を踏まえて必要に応じて今後とも連携を図ってまいります。 次に、児童虐待防止策にかかわる職員の研修についてのお尋ねでございますが、御指摘のように学校の教職員、児童福祉施設の職員、児童福祉に携わる職員等、児童虐待防止法に関係する職員に対して法の趣旨を徹底し、法の規定している内容を実現することに努めることは当然のことでございます。そのために、児童虐待の早期発見に努めることや通告義務、また法の規定の変化等を含め、関係する職員に対しまして趣旨の徹底を図っているところでございます。 特に、御指摘の通告事務に関する児童虐待防止等に関する法律上の変化につきましては、職員に認識が行き渡っているものと考えておりますが、今後、さらに順次研修を実施してまいりたいと存じます。また、より専門的な研修の方法につきましても、今後さまざまな方法を検討してまいりたいと思います。 次に、庁内の連携についての御質問にお答えいたします。 新宿区におきましては平成10年6月に学識経験者、区内の児童に関する諸機関の代表者、議員の代表者、公募の区民、庁内の関係組織の部長級の職員で構成する新宿区子育て支援計画策定委員会を設けまして、平成12年度から平成19年度までの児童福祉部門の施策の方向性を検討し、平成11年11月に「子供が健やかにいきいき育つ子育て支援新宿プラン」を策定いたしました。現在は、その基本理念、基本目標を踏まえながら、実施計画に基づき施策の具現化に努めているところでございます。いずれにいたしましても、次の世代を担う子供たちが健やかに育つ環境づくりのためには、庁内のみならず都と区、行政と民間という枠組みを超えた連携が必要なことは御指摘のとおりでございますので、区といたしましても、今後積極的に取り組んでまいる所存でございますので、御理解を願います。 次に、虐待した親への支援も必要ではないかとのお尋ねでございますが、御指摘のとおり児童への虐待は単に子供を保護するだけではなく、虐待をした親への支援を図ることも重要であると考えます。児童虐待は親の孤独感や育児への自信喪失から起こるケースもあり、そうした孤独感の解消や身近なところで相談のできる場が必要であると考えます。そのような場所として子ども家庭支援センターを設置いたしました。また児童館の乳幼児コーナー、子育てひろば事業などもございますので、今後とも親への支援策につきましても充実を図ってまいります。 なお、保健センターにおきましては平成12年度から親と子の相談室を開設し、育児不安を持つ親御さんを対象に専門医及びカウンセラーによる相談、支援を行っているところでございます。 今後は、現在の個別相談のほかグループ相談の開催につきましても検討していく所存でございます。 次に、働く女性が安心をして子供を預けられる施設と人材の確保についてのお尋ねでございますが、国の認可基準あるいは東京都が独自に定める認証基準等を満たした保育所の整備という御趣旨と存じます。今日、勤労者の就業形態は多様化し、夜間保育、長時間の延長保育、休日保育等の多様な保育ニーズが増加していると考えております。このたび民設の夜間保育所が区内で初めて認可をされることとなり、現在、入所申込みを受け付けているところでございます。今後とも民間の柔軟な発想や意欲を活用しつつ、積極的に幅広い保育ニーズにこたえてまいりたいと存じます。 次に、遺伝子組み換え食品と保育園の給食についての御質問でございますが、保育園では常に新鮮で安全な食材を購入し、子供の年齢や発達に応じた調理方法で提供しております。食材の購入先は近隣の小売店が大部分でございまして、野菜、豆腐、肉類などの生鮮食品は日々必要量をグラム単位で注文し、配達していただいております。こうした調達方法においては産地や栽培方法を確認することは困難な状況もございますが、今後ともできる限り安全な食材の調達に努めてまいります。 次に、国産の食材をふやせないかというお尋ねでございますが、購入先の小売店に、可能な限り国産の食材を中心に納入してもらうよう依頼をしてまいります。 次に、介護保険対策についての御質問でございます。 まず、家族介護慰労金支給についてのお答えをいたします。 介護保険制度導入の目的として、これまでの家族介護から社会全体で支える体制への転換があったことは御指摘のとおりでございます。私は今でも、家族の負担を軽減するためには介護サービスを利用していただくことが基本であると認識を持っております。しかしながら、区民の中にはさまざまな事情によりまして家族介護を選択している方もいらっしゃいます。慰労金の支給は介護保険の給付とは別の制度として、介護サービスを利用せず、しかも重度で低所得世帯の高齢者を介護する家族への慰労として、国の制度に基づき実施するものです。実施にあたり、要介護認定を受けていただくことを前提といたしましたが、これを機会に介護保険サービスの内容や手続などについても積極的に御案内し、今後の介護保険サービスの利用につなげる努力をしてまいりたいと考えております。 次に、利用料の助成についてでございますが、利用料負担につきましては公平な負担に基づくサービスの提供という介護保険制度の趣旨から、経過的措置は例外として、1割の自己負担をお願いしております。介護サービスが自治体の境界を超えて民間事業者によって提供されている実態からも、低所得者の対策は全国一律の基準により必要な施策が行われるべきであると考えており、区長会を通じて国に対して要望しております。したがいまして、区独自の低所得者対策を導入する予定はございません。 次に、住民基本台帳ネットワークシステムについての御質問でございます。この制度につきましては平成11年8月に住民基本台帳法が改正され、現在、平成15年8月の全面稼働に向けて政省令の検討が国において進められているところでございます。 どういう形で区民に理解してもらう努力をしたのかとお尋ねでございますが、これは法律上の問題として新聞などのマスコミを通じて国民への周知が図られているところです。実施に向けての詳細がまだ明らかになっていませんが、今後、区としても詳細が固まり次第に区の広報紙やチラシなどにより、この制度を区民の皆さんに御理解いただけるよう広報を行っていきたいと考えております。 続いて、私がこの制度に対して、国民総背番号制への一里塚にならないという確信を持っているのかとのお尋ねにお答えをいたします。 確かにこのシステムにおきましては氏名、住所、性別、生年月日、住民票コード並びに付随情報とされる住民票記載事項の変更事由及び変更年月日が都道府県と、都道府県が一部の事務を委任するために組織されている全国センターに保有されます。しかし、そうした情報は全国センターを通じて必要に応じて国に提供されるだけで、国が一括して保有していくものではありません。しかも提供される情報も限定されておりますし、国への情報提供には個別の目的ごとに法律上の根拠が必要です。目的外利用も禁止されております。 さらに、このシステムの運用も国が行うものではなく、地方公共団体が共同で当たることとなっています。したがって、国民に付した番号のもとに国があらゆる個人情報を一元的に収集管理するということは、法的にもシステム的にもできないこととなっており、この制度は国民総背番号制につながるものではないと認識をいたしております。 次に、情報公開と住民参画についてのお尋ねでございます。 御指摘にもございますように、これからの区政は区民とともに考え、ともに協力していかなくては一歩たりとも前に進まない時代を迎えております。とりわけ、税収の伸びが期待できない中において、区民福祉の安定と向上を図るためにパイをどう配分するかという最も基本的な問題についても、区民の合意形成を図っていかなくてはならないものでございます。したがいまして、後期基本計画の策定に際しましては、区政の課題とその解決に向けた方向性や打開の手順などの選択肢を区民の皆様の前にあきらかにし、ともに考える機会を設けてまいりたいと考えております。 こうした過程の積み重ねによりまして、御指摘の中で引用いただいている三重県知事の「第三者的に批判するだけの観客民主主義」と決別できるものと考える次第でございます。 以上で私の答弁を終わらせていただきます。 ◎教育長(山崎輝雄) 教育委員会への御質問にお答えいたします。 児童虐待防止法において、従来と変化した点と研修についてのお尋ねでございます。 教育委員会では昨年7月に福祉部と協力して「こんなときあなたはどうしますか」というリーフレットを作成し、この中で、児童虐待に気づいたときの対処法を保護者や教職員に周知したところです。早期発見努力義務、通告義務など従来と変化した点につきましては、それらが掲載されている東京都教育委員会からの児童虐待についてのリーフレットを、昨年12月に区立全幼稚園、小・中学校に配布し、周知を図っているところでございます。民間団体が開催するセミナーの活用につきましては、その研修の内容及び趣旨を十分検討した上で判断してまいりたいと考えております。 次に、子供をキーワードにした庁内の連携についてのお尋ねですが、平成10年6月に設置されました新宿区子育て支援策定委員会には、関係行政機関の1つとして教育委員会事務局も計画策定に参画し、平成11年11月の「子育て支援新宿プラン」が策定されたところです。今後の学校教育や生涯学習分野において、教育委員会といたしましても子供を守り育てるという視点から、積極的に各関係機関との連携を推進してまいりたいと考えております。 区立幼稚園では、地域に開かれた幼稚園事業として地域の幼児の健全育成、家庭や地域の教育力の向上のため、未就園児親子を対象にして、園庭、園舎、プール等の園施設の開放、園行事等への参加など各幼稚園の創意工夫の中で、施設の有効活用を図っております。また子育ての不安感、負担感を解消し、健やかに子供を育成できるように、幼児教育の専門的な立場から園内で子育て相談や講演会を行うなど、地域の幼児教育センターの役割を果たしております。今後、この事業につきましては内部に設置しております区立幼稚園のあり方検討会で、実施日の増などについて検討を行ってまいります。また、この事業の周知にも努めてまいります。 次に、遺伝子組み換え食品と学校給食の食材についての御質問でありますが、学校給食の運営にあたりましては安全性の確保が重要な要素となっております。お尋ねの生鮮野菜等は国産品で有機栽培のものを購入するように努めております。また、みそやしょうゆにつきましては東京都学校給食会で非遺伝子組み換え食品が購入できるようになっていますが、教育委員会では区内業者に対しましても、各学校が購入できるようにお願いしております。 それから、学校給食用のパンにつきましては、原料となる小麦粉を国が一元的に管理しておりますので、教育委員会といたしましては東京都学校給食会を通じまして安全性の高い食材の選択を要請してまいりたいと考えております。 また、学校給食に国産の食材をふやせないかとのお尋ねですが、現在、各学校では国産の食材を購入しておりますが、今後も学校給食費の中で可能な限り国産の食材の購入に努めてまいります。 以上で教育委員会としての答弁を終わらせていただきます。 ◆23番(小野きみ子) 御答弁承って、なるほどと思うところもあったり、いや、そうかななんて思うところもありました。だけれども、とっても子供に関する政策は新宿区はいいんですけれども、まだ縦割りの弊害がありますね。お互いに1つの情報で、例えばふと新宿区に移り住んできたお母さんが、両方、幼稚園の方とかあるいは落合の方の子育て支援センターですか、家庭サポートセンターだったか、ちょっと名前は私もあれしたんですけれども、そういう両方ありますよ、どっちでもあなたの使いやすい方でどうぞというような、すぐわかるような情報の提供がされるといいなと思いました。 それから、住民基本台帳ネットワークシステムについては区長の御答弁について、それだったら国は何であんなややこしい法律をつくったんだろうなっていう疑問も持ったりしますので、今度行われる予算委員会で、私たちの仲間がその点もさらに質問させていただくことになると思います。 どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(小沢弘太郎) 以上で、本日の質問は終わりました。 ------------------------------------- ○議長(小沢弘太郎) 本日の会議は、議事進行の都合により、これで延会したいと思います。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小沢弘太郎) 異議なしと認めます。 本日の会議はこれで延会することに決定しました。 次の会議は2月28日午後2時に開きます。ここに御出席の皆様には改めて通知しませんので、御了承願います。 本日はこれで延会します。 △延会 午後6時11分          議長    小沢弘太郎          議員    志田雄一郎          議員    あざみ民栄...